公立病院改革2-6【成果品提出 検収】〈2006年〉首都圏100床 S市民病院
さて公立病院に限らず、公共の仕事を受注した場合には、基本的に
「最終成果品を納品し、その検収(点検)を受け、議会なり然るべき部署なりの了承を経たら、請求書が出せる」
ということになる。
なので、我々民間事業者は、まずコンサルレポートのドラフトを提出して、その内容で良いかどうかの「検収」を受けることになる。
このS市民病院の検収は、比較的すんなり通ったと記憶している。
病院の方々の顔や反応を見ても、私たちの仕事内容について、目的と価格に見合ったものと、納得してもらえたようだった。
しかし、その後何年も公立病院の仕事をしていくと、この検収で引っ掛かることも普通にあった。
その「引っ掛かる」が、誤字とか計算誤りとか、当方の誤りによるものではないことが多い。
「その内容では議会が通らない」
「それを書くと、議員が怒る、医者が怒る」
「市長はこういう結論を望んでいない」
「こう書かれては、市民に説明がつかない」
などなど・・・
そう、コンサルには都合の良い言葉を並べて欲しい、という自治体は結構多いのだ。
こちらは分析に基づいて、恣意性はあまり入れず(0とは言わない)に提言するのだが、それを曲げてくれ、変えてくれという話はよくあった。
S市民病院の業務はそれが全くなく、スムーズに検収を通り、すっきり入金をいただけた。
私自身の2回目の公立病院業務としては、とても満足がいく仕事であった。
その病院は少し業績が悪い以外は、小児救急が充実しており、本来へき地医療に携わるようなハートの熱い医師たちが複数常勤されている、実に良い病院だった。
ただ公立病院として高コスト体質に加えて、100床程度の規模でこの医療内容で、黒字ベースに持っていくのはかなり厳しい注文であった。
この病院は、いまから10年ほど前に民間移譲されて、いまは民間医療法人が頑張って経営されている。
私たちが作成したレポートは、そこに至る病院改革の第一歩であったのかもしれない。
さて、この病院の業務が完了したのが7月31日。
S市民病院業務の無事終了を喜ぶのもつかの間、私の税理士試験は、8月第一週である、、、
受験はした。
しかし、この年は結局合格できなかった。
こうして、ストレスをさらに一年持ち越すことになったのである。