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左右分離キーボードを買った話

副業愛好家まっきーです。

久しぶりに書きたいことができたので書いてみます。

きっかけ

この間、この動画を見ました

うーんおもしろい!

自作キーボードの世界は知ってた

社内に変態的キーボーディスト(PC)の @t2kob さんがいる

その人の話をよく聞いてたので知ってたけど、

つい最近タイピングしてると左手の小指が痛くなるようになった。

仕事を終える頃になると痛くなる。

僕はMac使いだけど、多分ショートカットのCommand⌘を使いすぎてるせいだと思う

そんなわけで社内の変態キーボーディストに、相談してみることにした

彼は3Dプリンターで自作キーボードを作ってしまう変態だ

これが彼の作ったキーボード

これが左手用。カラフル。よくみるとカービィがいる
これが右手。

なぜかキーにカービィが書かれたやつがある

何回聞いても、何のキーか思い出せないけど

そんなわけでプロダクトチームのオンライン飲み会があったから、相談してみた

そしたら都合よく、ハンダづけの分離キーボードを作ったことがあるエンジニア( @pxfnc )もいて、その道のオタク2人で僕におすすめのキーボードを教えてくれる流れに

欲しいキーボードの要件

先述した通り、左手小指が痛くなることの予防が一番の目的

そうすると、

①親指のあたりにCommand⌘を割り当てられる

が必要になる。

これをやるなら、左右分離キーボードがおすすめになるとのこと。

考えてみたらわかるけど、分離してないとキーの場所がシンプルに足りないから左右分離して親指の辺りにキーを増やすのがマストになる。

また、キーボードを使い始めて20年くらい経ってて、配列の習得に時間をかけたくないのもあったので

②QWERTY配列

も条件


QWERTY配列

また、ハンダ付けは面倒だったので、

③ハンダ付け不要

も条件に

それと、それまで使ってたのがMac標準のBluetoothキーボードで、これが1.5万円くらいだったこともあり、

④予算は5万円

というのも条件に。

(こだわりたいくせに我ながらワガママ)

これらから、最初はergo系を薦めてもらってた

ergo68というやつのハンダ付けが済んでる製品を買ったらよさそうという話に

日本でほぼ唯一?の自作キーボードのお店遊舎工房も紹介してもらって、そこに行くつもりに完全になってた

Moonlanderに月面着陸(出会い)

しかし、飲み会の終盤でなにかの拍子でZSA社の「Moonlander」がいいのではという話に


ZSA - Moonlander

これはハンダ付け不要で販売されてるカナダの会社の製品(製造は台湾)

左右分離であり、親指に角度がついていて親指が押しやすい

左手と右手の間にキーが追加されているのが意外と大事とのこと

Oryx(オリックス)というサイトに無料登録するだけでコーディング不要でキー配列も変えられる

しかも、パームレスト(手のひら置き)が標準装備で、パームレストがずれてしまうこともない

さらには持ち運び用のソフトケースも付いてて、外出時も使いやすい

最高だ!

でも新品が5.8万円(365USD)とお高い…

うーむ…

ワンチャンメルカリに?


...ありました!!

43,000円!

予算にも収まる!

他の出品者でも同じ製品が4〜5万円で売れてるのも確認してポチった

ワクワクドキドキ

初期設定との戦い

届いた!

なんかいろいろ写ってるけど、買ったその日の画像がこれしかなかった

さっそく使ってみる

イヤホンジャックと同じ端子で左右のキーボードを接続していて、左とPCをUSB typeCで繋ぐ

Macにキーボードの初期設定のウィンドウが出る

Macのキーボード設定アシスタント

左Shiftの右のキーだと?

んなもんないんだ!そもそも左のShiftの場所が決まってないんだ、こいつには!

と思って初期設定を拒否

これが落とし穴だった

前の購入者が設定してたっぽい配列がキーボードに保存されてて、親指のあたりの配列が標準と異なってたのでOryxからMoonlander標準の配列をキーボードに保存する

やりかたは簡単で、ブラウザ上でOryxで「Save to my keyboard」をポチって左キーボードの右上にあるリセットボタンをシャーペンで押し込むだけ

そこまではよかった

しかしなぜか記号が一部、押しても別の文字が出てくる…

  • ' → :

  • ] → [

  • [ → @

  • ¥ → ]

頭がバグる

Oryxでは自分の配列を作成できるので、いろいろポチポチ押しながら、無理やり入力と同じキーが出るようにOryxに設定

その試行錯誤の形跡が見られるバージョン

ハンダ付けエンジニアにキーボード買ってみてどうかと聞かれたのでこの愚痴を言ったら、どうやらJIS配列とUS配列の違いらしい

Macのキーボード初期設定で左Shiftの右のキーを押してくださいと言われて無視してしまったことで、設定がJIS配列のままになってたようだ

そこで左Shiftの右はZだということにして設定し直してみたら、うまくいって、設定したキーが入力された!

打とうと思ったキーがそのまま入力されるということ

当たり前の幸せを噛み締めるとはまさにこのことだった

それで色々ガチャガチャと、元々使ってたJIS配列の雰囲気を残しつつ新たな自分用キーマップを作り始めた

覚えられんわ

買ったMoonlanderは主要なキーについては印字があるタイプ

とは言え、@、*、-など挙げればキリがないが、いつもよく使うキーも印字されてないので、打つときにまずOryxの設定画面を見て、キーボードを見て打つという手順が必要に。

今までは20年で培ったブラインドタッチをしてたので、

恐ろしくタイピングが遅くなってしまった

また、今までは平べったいキーキャップを使ってたが、新しいキーキャップは結構立体的なやつだったのでかなり違和感がある

これはまずいということで一旦ポストイットを貼ってしのぐアラワザを実行

付箋だらけのキーボード

キーボードに入力できる文字が書いてある

という当たり前の幸せを再び感じた

しかしポストイットはザラザラめの表面では簡単にはがれてしまうし、なによりダサいという問題に直面

結局、聖地「遊舎工房」へ

キーキャップを買い替えるつもりで行った

しかしワクワクして行ったものの、Moonlanderが特殊な形状で、なかなかぴったりなキーキャップが売ってない

一応キー数が多いキーキャップのセットを買えば付け替えられるけど1万円以上する

Moonlanderは基盤部分が光ってオシャレなのに、これを活かせるやつもあんまりない

基盤部分が光ってる。四角い黒いのがキーキャップ、白と茶色のがキースイッチと言うのも今回知った。ハンダ付け不要でこれらを付け替えられるのもMoonlanderの特徴のひとつ

そこで、結局キーキャップに貼るシールを買った

こういうものがあるというのも、3Dプリンターを使う変態から教わってたので、割り切って買うのを決められた

とは言えシールに2,000円かかったのは若干納得できなかった


シールを貼り貼り。

キーキャップをアルコールシートで拭いて、

カッターで一文字ずつカットして、

ピンセットで剥がしてキーキャップに貼り、

文字部分以外のシールを剥がす

今数えたら58回シールを貼ってた

なかなかに面倒だった

用済みになった付箋


めぼしい文字が全部使われた後のシール

ようやく完成(いったん)

やはりキーキャップにポストイットなんか貼ってないほうが圧倒的に美しい

配列のこだわりポイント

キーボードを買って届いてから19日ほど

年末年始でキーボードをほぼ使わなかった7日間ほどを抜くと2週間程度。

Oryxではキー配列をバージョン管理できるが、配列を変更した回数、数えて48回ほど(変更履歴


今の配列。デフォはLayer0でLayer1にはLayer切り替えキーで移動する

ようやく納得する配列になってきた

こだわりポイントが何個もあるので説明する

QWERTY配列はいじらない

これはキー配列習得を早くするのに重要だったため、重要な前提

US配列と近い記号配置

今回まで知らなかったが、記号の場所がJIS配列とUS配列で本当に違う

たとえばShift + 2を押したとき、JISだと「"」だが、USでは「@」になる

Shift + 数字は半分以上記号が変わってしまう

1〜5のあたり
6〜0のあたり

各数字をShiftを押したときの記号は以下の通り

  1. どちらも「!」

  2. JISは「"」USは「@」

  3. どちらも「#」

  4. どちらも「$」

  5. どちらも「%」

  6. JISは「&」USは「^」

  7. JISは「'」USは「&」

  8. JISは「(」USは「*」

  9. JISは「)」USは「(」

0.JISは設定なし、USは「)」

右手の小指付近にあるキーもだいぶ違うが、なんとかJIS配列と近めのところに配置した

右手の小指付近
'や`などをいい感じの角度で貼るのが緊張した

左端の配列は変えない

Macのキーボードだと、左上から下向きに

  • Esc

  • 1

  • Tab

  • Control ^

  • Shift⇧

となる

Macの標準のやつ

ここはまったく一緒にして親しんだショートカットキーはなるべくそのまま使えるようにした

左端

さらに一番左下は標準ではCaps Lockだがいらないので、Layer1への移動に割り当て

※Layerは押しながら別のキーを押すと他のキーを打てる機能。普通のキーボードでも「1」がFunctionで「F1」になるのと同じ

左下隅の右には

  • Option⌥

  • Command⌘

を並べてここも標準配列に合わせた

親指の左右それぞれ4キーの割り当て

みなさんは普段親指をどのキーを押すのに使ってるでしょうか

Macの標準のやつ

僕の場合、Macなので左手は

  • Space

  • 英数

  • Command(ちょっと遠い)

といったところだろうか

右手親指は

  • Space

  • かな

  • Command⌘

  • Fn(Function。たまに)

といったところだった

それが自由に設定できるというので色々考えた

まず元の機能性を確保するために左手親指に

  • 英数

  • Command⌘

  • Space

を割り当てる

左手親指

さらに標準配列では遠いところにある「Delete」を割り当て。

標準キーボードでの手の大きな動きを減らした

右手親指には

  • かな

を配置

Spaceは左手親指で押すことにして、空きキーが3つもできた

そこで、

  • Return↩︎

  • Option⌥ + Command⌘

  • Control ^ + Command⌘

を配置

右手親指

そう、1キーでの同時押しをプログラムできる!

これがなかなかに便利

「Option⌥ + Command⌘」はさらに他のキーを押すことで組み合わせて使う

  • M: Google Docsでのコメント追加

  • L: Notionでのページリンクコピー

  • 数字(特に2〜4): Google Docsでのヘッダー設定

こんな感じで使ってる

職業柄けっこうこの使用頻度が高い

「Control ^ + Command⌘」はあんまり使わないが、Chromeに独自設定したショートカットであるアカウント切り替えに割り当てている

(Control ^ + Command⌘ + Mで私用Chromeアカウントに切り替えなど)


左手に一部右手のキーを配置

左右分離キーボードを使って気づいたのは、だいぶ右側にあるキーを一部左手で押してたことだった

実は同じキーを右手でも左手でも押したりしている。どちらを使うかは前後の打鍵が同じ指にならないように無意識にやっていた。

全然気づいてなかったが、ふと「そこにあったはずのY」や「そこにあったはずのH」を押してしまって、タイプミスしてしまう

そこで、左手のTの右にY、Gの右にHを標準同様に配置

左手の右端にYやHを重複させて配置

これでタイプミスが減った


余った場所によく使うショートカットを配置

他にもいくつか場所が余ったので、以下を配置した

【左手の下側】

  • Command⌘ + Shift⇧ + V: Clipy起動

左手の下側

これはMacでクリップボードを拡張するアプリClipyの貼り付け候補を表示するショートカット

みなさんクリップボードは使ってると思うんですが、だいたいコピーしておけるのは一つまでのはず

でも何個もコピーしておけるとかなり便利なのでこれは超おすすめ

こんな感じでクリップボードが拡張できる
  • Return↩︎

左手の下にもReturn↩︎を配置

これが左手側にあることで、実行系アクションが左手で完結。

【左手の右】

  • Command⌘ + Shift⇧ + Control^ + 4: 範囲を指定して画面をスクリーンショットしてコピー

ボタン1つでスクショを撮れるのは昔実家でデカいキーボードを使ってたとき以来

仕様の説明やらで何かと高頻度でキャプチャするのでとても便利

  • Command⌘ + Shift⇧ + 5: 画面を動画でスクリーンショット

ここはLayer0ではYに場所を譲ったので、Layerボタンを押しながらここを押すと動画スクリーンショットを開始できる

これも仕様の説明で多様

【右手の左】

  • Option⌥ + Command⌘

右手の親指同様、にもこれを配置

右手の人差し指に右手の親指と同じキーを配置。親指で慣らしたいが最初にこっちに配置したら慣れてしまったので一時的にダブらせている
  • Command⌘ + C → Command⌘ + T → Command⌘ + V → Return↩︎: コピーして新しいタブを開いて貼り付けて検索

マクロを設定したようす

これはわからない用語があるときや、URLがテキストリンクになってないときとかに連続でやるショートカットキー

やたら長いので短縮して一発でできるようにした

そう、先ほどまで出ていた「同時押し」(Held)だけでなく「連続押し」(sequence)まで設定できてしまうのがMoonlanderとOryxのすごいところだ

これにコーディングがいらないってのが素晴らしい

Moonlanderのメリットとデメリットをまとめる

感じたことをつれづれ書いてきたけど、ここで一番求められてそうなことを書いておく


【メリット】

  • ショートカットキーを好きに配置できる

  • 左手の小指が痛くならない

  • 手の大きな動きが減った気がする

  • 左右分離なので肩が凝りづらい

  • 親指に角度がついていて押しやすい

  • パームレストが最初からついていてずれない

【デメリット】

  • 新しい配列に慣れるのに時間がかかり一時的にタイピングが遅くなってる

  • 値段が高い

  • 今後キーボードはPCと一緒に持ち歩き必須になる

  • このキーボードに慣れたら他のキーボードを使えるか不安

【おすすめする人】

  • ショートカットキーをよく使う

  • ユーザー辞書登録をよくするタイプの人(傾向的に)

  • パームレストを普段から使う習慣がある

  • タイピングで指が痛くなっている

  • タイピングで肩が凝っている

旅は続く

そんなこんなでちょっとずつ配列をいじりながらMoonlanderを使い込んでいる

配列はだいぶ落ち着いたけど、最近も左手のYやHを導入してReturn↩︎やClipyの位置を入れ替えたり、
右手に「:」を移動したり、
新しいタブでコピペを検索するマクロを導入したりと少しずつチューニングを繰り返してる

まだまだきっと配列はいじりそうだから、まだこの配列は完成してない

ちなみにタイピング速度は今は93まで回復しました!

  • 元のキーボード:110

  • →キーボード変えたて:55

  • →今:93!!

このサイトでスピード測れるよ

数年後にどうなってるか楽しみだ

ZSA - Moonlander

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まっきー@副業愛好家
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