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妊婦よ野性へ戻れ③シックス・センス

野生のお産を極めると
狭くて暗くて
心地よい温度の場所で
安心できる人だけに見守られて
産みたくなる

助産院でも
家族や助産師が囲む暖房の効いた部屋ではなかなか進まなくて

トイレに入った途端ぐんぐん進んで
「涼しくて気持ちいい!
ここで産みたいー」
と叫んだ人も…

扉の向こうから
「トイレで産んでもちゃんとお手伝いするし、なんの問題もないよ。
でも、この子が大きくなって
トイレで産まれたと聞いて
もしかしたらショック受けるかもしれんけど…」
と言うと

しばらく考えて

「やっぱり布団で産む…
けどしばらくここにいる」と
赤ちゃんの頭が見え隠れするまでトイレで過ごされた方もいる

もちろん、陣痛に集中しすぎるより
誰かと話しながら、笑いながら
体制を自由に変えて動きながら
大好きな音楽や香りを楽しみながら
リラックスして産みたいという人も

どちらにせよ
自分はどのような状態が
心地よいのか
それがわかれば
お産は気持ちよく進む

人や動物、すべての物には
気配とか波動があって
そばにいて安心する人や物
触れてもないのに近づくだけでざわざわする物もある

それは相性だったり
その時の自分の体調や心によって
同じ相手や物でも感じ方が変わったり

昔の遊び
「ハンカチ落とし」ってしたことある?
円になって目をつむる
後ろを歩く人の気配
ハンカチを落とされたかも?という
ざわざわ感

かくれんぼで
鬼の気配を感じ
心臓のドキドキを隠すために
わざと呼吸をゆっくりさせて
気配を消したあの日

そんなことからも私たちは
たくさんの事を学んでいる

なんとなく嫌
ざわざわする

この体勢が好き
この場所で産みたい

この風を感じていたい
この人がそばにいて欲しい
今は一人にして欲しい

感覚を研ぎ澄まし
感じていくと

赤ちゃんが降りてくるのがわかる
私が産む
覚悟が決まり
肝が座る

なんとなくおかしい
これ以上は危険かもしれない
逃げるのか
この山を越えるのか
本当はみんな
自分で判断することができる

これは好き
心地いい
これはちがう
これは嫌だ

自分を守るため
相手が医療者であっても
家族であっても
人に伝えることができる

でも、常に大きな音やざわめき、
コンセントに囲まれての生活
なんとなく嫌だけど我慢しながらの
小さなあれこれを積み重ねると

人は不快やざわざわを
感じなくする術を
身につける

いつしか
そんな感覚が自分にあることも
忘れてしまう

妊婦になったらもう一度
本来自分が持つ
第六感を取り戻すために

たまには
枯葉舞い散る自然の中で
目をつむり
風の香りや温度を感じてみる

たまには、ハンカチ落としも
いいんじゃない?

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