【こんな映画でした】161.[日の名残り]
2019年 4月11日 (木曜) [日の名残り](1993年 THE REMAINS OF THE DAY 134分 イギリス)
ジェームズ・アイヴォリー監督作品。まず原題。あらためてこの「DAY」に引っかかった。もちろん邦題のそれである。辞書をみると予想通り「時代・時期」の意味もある。「日中・昼間」の意味も。さらに「one's~」の形だが「全盛時代・生涯」の意味も。さらにさらに「of the day」では「当時の・現代の・現下の・今日の」の意味も。
一方、「remains」の方は、「残り・残りもの・遺作・遺構・遺物・遺跡・形跡」そして「遺体・遺骨」を遠回しに言う場合がある、と。するとこれは「時代の残滓・残骸」といったニュアンスなのかもしれない。
このように邦題にはやや違和感があるが、翻訳者としては、してやったりのネーミングであったろう。
さて内容である。主人公はアンソニー・ホプキンス演じる執事・スティーブンス。彼の眼から見た「現代の形跡」といったところであろうか。
人は各々自ら信じるところをその結果の如何にかかわらず実行して、その人生を終えていくものだ。この執事が仕えるダーリントン卿もそうだ。歴史の皮肉としてヒトラーのドイツに利用されるという歴史的な結果に、失意のうちに亡くなる。
ミス・ケントン(エマ・トンプソン)も、一歩を踏み出せず別離を迎え、20年後の再会の時にはもう時すでに遅しで、再びの別れとなる。それがこの映画のほぼエンディングでもある。
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なおアンソニー・ホプキンスの出演映画は、[エレファント・マン] (1980)・[羊たちの沈黙 ](1991)・[アミスタッド ](1997)・[アレキサンダー](2004)を観ている。
エマ・トンプソンの出演映画は、[17歳の肖像](2009)・[ヒトラーへの285枚の葉書] (2016)を観ている。