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【こんな映画でした】1062.[肉体の悪魔]

2023年 8月 2日 (水曜)  [肉体の悪魔](1947年 フランス  LE DIABLE AU CORPS DEVIL IN THE FLESH 117分)

 クロード・オータン=ララ監督作品。ジェラール・フィリップ主演、相手役女優はミシュリーヌ・プレール。二人とも撮影当時は24、5歳だが、フランソワの方は17歳の役柄。

 原題は「魔にとりつかれて」といった意味であるらしい。邦題は「肉体」という言葉に引っかかってしまう。「性欲」というのは、ほぼ誰にでもあるもので、これを否定し去ることはまずできない。だから、どんな人間にでもこのような状況が訪れることはあるのだと知っておくべきだろう。

 ふいにこのような事態に遭遇しても、このような小説や映画を読み、観ていたら、動転することはない。いや動転はするだろうが、それにどう対処していけばいいかを考えやすいだろう。

 さて内容は、端的に言えば年下の男性、ここでは高校生の、年上女性に対する恋物語である。彼が持っていたであろう恋心と、偶然に出くわした女性への一目惚れとが合致して、一気に恋愛へと発展していく。しかも、女性の側もそのようになりうる条件があったからでもあろう。彼女は気の進まない婚約をさせられていたようなのだ。

 このようなまさに「魔が差す」ような環境条件にあったが故に、それはとことん行くところまでいかざるを得ないわけだ。そして結末は、案の定「別れと死」ということになる。これ以外に決着のつけようはない。

 ラストシーンは、彼女の葬儀のあとのフランソワのやるせなさを描いて終わる。不倫ものではあるが、当時、この映画はヒットしたとのこと。人間のどうしようもない・やむを得ない心情の発露とその結果であるからだろう。

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