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【こんな映画でした】845.[鶴は翔んでゆく]

2023年11月22日(水曜) [鶴は翔んでゆく](1957年 LETJAT ZHURAVLI THE CRANES ARE FLYING ソ連 戦争と貞操(初公開時) 97分)

 ミハイル・カラトーゾフ監督作品。主演女優はタチアナ・サモイロワ(撮影当時23歳)。志願兵として婚約者を置いていく青年(25歳)をアレクセイ・バターロフ(撮影当時28歳)、[小犬をつれた貴婦人](1959)を観ている。

 オープニングシーンからして、カメラワークが新鮮だ。俯瞰があり、階段では下から見上げるカメラアングルなどに驚きを感じた。なお鶴が飛んで行くシーンは、オープニングとエンディングで使われている。

 解説のブックレットによると、「アパートの螺旋階段では下から見上げる仰角の視点を用いることにより、ラクルス(遠近が凝縮され強調される手法)が圧倒的な効果を発揮している。」(沼野恭子・東京外国語大学名誉教授)とある。

 ふたりの青年が出てくる。医者の息子は志願して、結局戦死する。そのいとこは、叔父である医者の威を借り、金を渡して徴兵免除となっている。

 スターリングラードでの戦いで、負傷者が運ばれてくるシーンがあった。あらためて第二次世界大戦における、ソ連の人的被害の凄まじさを思い起こさせるものであった。

 ともかく共産党政権下での映画製作なので、どうしても臭さはあるが、それでもよく撮ったものだと思う。

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