【こんな映画でした】602.[牝犬]
2020年10月27日 (火曜) [牝犬](1931年 LA CHIENNE THE BITCH フランス 95分)
ジャン・ルノワール監督作品。5作目。何とも嫌な作品だ。背徳的とも言えるが、オープニングシーンでその点については、釘が刺されている。つまりここに描かれていることは、そう特別なことではなく、ざらにある哀れな人間の話なのだ、と。
主演の情けない42歳の中年男ほミシェル・シモン。撮影当時35歳だが、やや猫背で演じている。ひもであるデデ役はジョルジュ・フラマンで撮影当時27歳。
「牝犬」になる女優はジャニー・マレーズ、撮影当時23歳というか、これを取り終えた直後にジョルジュ・フラマンの運転での自動車事故で亡くなっている。何とも不運なことだ。
ラストも非情というか、ルグランの復讐心のなせるものか裁判所に現れ、目の前でデデの死刑判決を聞くのだ。もっともその後は、ホームレスになるのだが。
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解説には「冴えない中年男ルグランは、ある晩出会った娘リュシエンヌに恋をし、彼女のために金をつぎ込むようになる。しかし、娘は金を無心する恋人デデのために、ルグランを利用しているだけで……。」。
やり切れない話だが、世の中にはこういうことが時たまあるようだ。ニュースになっている。生きるというのは難しいものだ。