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【こんな映画でした】307.[ベルサイユの子]

2021年11月14日 (日曜) [ベルサイユの子](2008年 VERSAILLES フランス 113分)

 ピエール・ショレール監督作品。初めて。初耳だがあのベルサイユ宮殿のあるベルサイユの森に、ホームレスたちが暮らしているとのこと。そもそもフランスにホームレスがいることが、あまり知られていないのかもしれない。もしくは日本では報道されてないか、私が知らないだけか。

 そこに紛れ込んできたまさにホームレス状態の母子。母親ニーナ役をジュディット・シュムラ(撮影当時22歳)、初めて。彫りの深い顔をしている。その子どもエンゾにマックス・ベセット・ドゥ・マルグレーヴ(撮影当時8歳)。見事な演技というべきか。

 ニーナがホームレスのダミアン(ギョーム・ドパルデュー、撮影当時37歳)にゆだねるように置いて、姿を消す。そこからこの二人の生活が始まる。世捨て人のダミアンにも、人の情というものがあったのか、エンゾの面倒をみる。

 しかし自分ひとりならともかく、エンゾのこともあり、絶縁状態にあった父親の家にダミアンは戻る。もっとも、その間ホームレスたちの粗末な住まいが焼き打ちされたような。ダミアンの父親は息子を拒否するが、エンゾのこともあり、一日二日ならいい、と。父親と同居している女性ナディーヌ(オーレ・アッティカ、撮影当時38歳)もエンゾに好感を持つ。

 ダミアンは自分の子どもとしてエンゾを認知し、学校に行ける手続きをする。その後どれ位の時間が経ったか不明だが、ダミアンはやはり放浪の旅に出てしまう。小屋(ホームレスの頃の)に住みたいと言っていたエンゾを置いて。

 それから7年。ダミアンからは連絡はない、と。そして母親ニーナがようやくエンゾを探し当て、再会して映画は終わる。

 子どもの健気さ、母親の子をおもう思い、そしてダミアンのそれ以外に生きていけないという人生。そういったものが心にしみる。

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