【こんな映画でした】794.[マイノリティ・リポート]
2023年 1月13日 (金曜) [マイノリティ・リポート](2002年 MINORITY REPORT アメリカ 146分)
スティーブン・スピルバーグ監督作品。トム・クルーズ(撮影当時40歳)主演ということで、どんなものか観てみようと思い入手。マックス・フォン・シドーも出ている。しかしSFものであったとは。「マイノリティ」は少数派であり、彼らについての「リポート」つまり報告とは一体何なのかと好奇心は持たされたわけだが。
2054年の近未来社会は、他の作品同様、御多分に洩れずダークな社会である。ここでは未来における殺人事件を予知能力者を使って検索し、未然に防ごうというわけである。場所はワシントンDC。
その未然に防いで容疑者(?)を逮捕するのが主人公の仕事である。警官ということか。ところがその仕事熱心な彼が罠に嵌められてしまう。つまり自らが殺人事件の犯人に仕立てられてしまうのだ。誰かがデータを書き換えたのか、警官である彼が「予定加害者」(こんな言葉はないが、まさに加害者として予定されている)として、未然に逮捕されようとする。
そこから逃げ出すことで、カーチェイスのようなアクションになり、娯楽映画らしくなる。もっとも予知能力者の殺害状況の映像は生々しく残虐なのであまり気持ちのいいものではない。
最終的には、味方のように見えた人間が実は敵であり、敵のように見えた人間が味方であったというどんでん返しがある。もっとも私ですら、途中から分かったのではあるが。
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とまれ、このような人間の予知能力というものをシステム化して犯罪を防ごうというのは無理があるということ。この事件を機に6年間続いたこのやり方・組織は廃止されることとなった。こんなふうな映画であった。
このシステムというのは、考えてみる戦前の日本にあった治安維持法の予防拘禁のようなものだ。悪用されることは目に見えている。そういうことからすると、この映画は警鐘を鳴らすものなのかもしれない。ミステリー仕立てであり、アクションがあり、娯楽性もあって。