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【こんな映画でした】984.[ルシアンの青春]
2019年 2月21日 (木曜) [ルシアンの青春](1973年 LACOMBE LUCIEN 140分 フランス/イタリア/西ドイツ)
やはり重い。ルイ・マル監督作品。[鬼火]のDVDの中にあった予告編を見て。題名はこのルシアンの姓名。17歳。彼の1944年6月から10月までの「青春」を描く。無残な青春ではある。
幼いが故か、はたまた母親のせいなのか。地下運動に参加したいと言ったが受け入れてくれなかった、その「先生」のせいなのか。
ともかくドイツによる占領下で鬱屈した、まだ大人になりきれない少年といってもいいくらいのルシアンが、フッとまるで魔が差したように「先生」のことを売ってしまう。そのおかげで「ドイツ警察」で働くことに。そんな中でのユダヤ人一家(父親・娘とその祖母)と出会い、ある種の「狂い」を生じていく。
ラストシーンは穏やかな緑の自然の中でゆったり横になるルシアンをとらえてフェイドアウトする。
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ともかく残酷な話である。誰が悪い、何が悪かったのか、とは簡単に言い得ない難しさがある。あえて歴史のせいにするなら、非情な歴史ではあることよ。
もちろん本来的には、過去から現在に到る歴史の中での、人間の犯してきた過ちの集積が、このような結末をもたらしているわけだ。戦争という形で。その大本には「差別」や「貧困」がある。