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【こんな映画でした】634.[ルナ]

2020年10月20日 (火曜) [ルナ](1979年 LA LUNA LUNA イタリア/アメリカ 140分)

 長くて、しかも内容が内容だけに、観るのも大変だった。しかし見終わって、身体が震えたので、何かを感じさせられたということか。ベルナルド・ベルトリッチ監督作品。

 まずは母親の一人息子に対する溺愛ということ。これが最終的には二組あり、それが絡み合っているとも言える。一つは結婚したにもかかわらず、母への愛情(恋、と言っていた)から結婚相手の女性と離婚してしまうというもの。

 もう一つは、離婚されたために一人息子とその家を出て、別の男性と再婚し、その一人息子には再婚した夫を実の父親だと教えて溺愛していくというもの。ただ再婚した夫は、推測だが、本当にはその一人息子を実子でないという理由もあるにせよ愛せてないようにも見受けられた。映画が始まって比較的早い段階で、おそらく心臓麻痺とかで死亡してしまう。

 そのような負い目(?)もあってか、その一人息子への溺愛は、かえって子供から不信感を持たれ、愛するどころか憎んでいるのだろうと思ってしまうことに。そういった確執をオペラのシーンと織り交ぜて見せていく。

 ラストは実の父親との再会(?)を果たし、一皮むけた感じにその一人息子がなったところで終わる。ようやく彼はひとり立ちできるのだろう。

 母親役はジル・クレイバーグ、撮影当時35歳。変わった感じの俳優であった。その息子ジョー役はマシュー・バリー、撮影当時16歳くらいか。

 なおこの映画を観る切っ掛けは、辻邦生の『私の映画手帖』に詳しく取り上げられていたから。生憎、氏の解説を十分に理解することは、今の私には無理であった。

 「ロトントマト」では、評論家はなんと46%、一方オーディエンスの方は69%と、アメリカの映画評論家たちには理解できないのか不評だ。しかし一般大衆を侮るなかれ。結構な評価をしているところは無視すべきではないだろう。ちなみにIMdBも6.5と低かった。そもそもヨーロッパ映画らしい映画は、他の地域では理解されにくいのかもしれない。母子相姦的な内容を忌み嫌っているのかもしれない。もちろん、この映画は単純にそのような内容ではないのだが。

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