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【こんな映画でした】190.[黄金の腕]
2020年 4月 7日 (火曜) [黄金の腕](1955年 THE MAN WITH THE GOLDEN ARM アメリカ 115分)
よくこんな過激な作品を作れたものだと思う。監督がアメリカ人でないというのもあるだろう。オットー・プレミンジャー監督はオーストリア人。主人公はフランク・シナトラ(撮影当時39歳)。[踊る大紐育](1949)・[地上より永遠に](1953)を観ている。
その妻にエレノア・パーカー(撮影当時33歳くらいか)、後の映画[サウンド・オブ・ミュージック](1965)の男爵夫人役で観ている。良き友人とも言える女性にキム・ノヴァク(撮影当時22歳くらいか)。[愛情物語](1956)を観ている。両女優ともそれぞれに美人であり、魅力的だ。
社会の病巣を描いているので、反発も強かったようだ。薬物中毒とギャンブルなのだから。覚醒剤の効果が切れて、禁断症状になった人のことはこれまでも読んだり見たりしていたと思うが、これほどまでに描かれたものは初めての気がする。ショッキングである。日本映画では黒澤明の[野良犬]がそうだった。三船敏郎が演じていた。しかしこの二つの病巣は、この21世紀の現在も続いているわけだ。根絶は難しい。
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なぜ妻が怪我をいつまでも偽装していたのか。なぜあそこまで夫の愛情を強く要求したのか。不可解と言えば不可解だ。しかしそれが人間というものかもしれないのだが。ともかくそのような生き方は、あまり肯定されることはないだろう。彼女にとってはそういう生き方しかできなかったのだあろうが。