【こんな映画でした】975.[リバティーン]
2023年10月19日(木曜) [リバティーン](2004年 THE LIBERTINE イギリス 110分)
ローレンス・ダンモア監督作品。「LIBERTINE」とは、「道楽者、放蕩者」の意。ジョニー・デップ主演、サマンサ・モートンとジョン・マルコヴィッチが共演。17世紀イギリスを舞台に、実在したロチェスター伯爵をそのおそらく28歳頃から、33歳の死までを描く。
なかなか深いものがある映画で、じっくり考えてみないと、そう簡単に分かる内容ではない。だから一般受けするとは思えない映画である。しかしジョニー・デップが気に入っての出演ということなので、何かがあるはずなのだ。
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時代は1675年という年号が出てきている。日本では江戸時代だが、イギリスでも国王の支配下にある時代。その国王に仕える伯爵の一人、実在の異能の持ち主第2代ロチェスター伯爵ジョン・ウィルモットの生き方を描く。
まず私が思ったのは、いつの時代にもこういう人物は存在するのだということ。そして彼らは、その時代にはとても受け入れられないということだ。彼に言わせている。「真実を描こうとして、真実からしっぺ返しを受けた」(趣旨)。
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2023年10月20日(金曜) [リバティーン](2004年 THE LIBERTINE イギリス 110分)音声解説版
ローレンス・ダンモア監督による音声解説版。映画の背景や、ロチェスター伯爵のことなどが分かる。異国の私たちには、この手の映画はなかなか分かりづらいものがある。もっともその頃の日本は江戸時代で、その時代についてどれくらい私たちが知っているかは疑問なのだが。
監督が言っていたが、リハーサルはあまり好きではないとのことで、1テイクで撮り終えている箇所が多いようだ。最後の方で梅毒に冒され、杖をつきながらの上院でのロチェスター伯爵の演説はかなり長いが、それも1テイクで、と。
監督は主演俳優について褒めるものだが、ジョニー・デップとサマンサ・モートン、さらにジョン・マルコヴィッチについてはベタ褒めであった。そういうことなのだろう。
あらためて思うのは、このような時代では個人の能力も女性との愛情関係もすべてにおいて厳しい制約があったということだ。幸せな人間関係を築けるかどうかは、一つは社会の体制のあり方が大いに影響しているということだ。みんなが対等・平等な(民主主義的な)状況がなければ、人は皆幸せにはなれないということだ。