【こんな映画でした】844.[水の中のナイフ]
2023年11月21日(火曜) [水の中のナイフ](1962年 NOZ W WODZIE A KNIFE IN THE WATER ポーランド 95分)
ロマン・ポランスキー監督作品。一回目はテレビで1988年12月26日に観ている。二回目の今回はアマゾンプライムで。まったく忘れていた。登場人物はわずかに三人。夫婦とヒッチハイカーの青年(19歳とのこと)。
夫はレオン・ニェムチック(撮影当時38歳)、妻はヨランタ・ウメッカ(撮影当時25歳)、青年をジグムント・マラノウッツ(撮影当時24歳)。
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夫婦が車でヨットハーバーへ向かう途中、ヒッチハイカーの青年と出会う。ヨットハーバーで別れるかと思いきや、ヨットに乗れ、と夫が勧める。そこからヨット上での三人のやりとりが始まる。
妻はその青年に特段の興味は持っていなかった、おそらく最後の別れまで。しかし夫は違った。若さへの嫉妬があり、妻に自分の存在意義を見せつけたかった。少なくとも潜在的にそのような意識を持ってしまっていたのだろう。だから青年をことあるごとに、いびるような態度をとるのだ。それは決して客人に対するようなものではなく。
第三者が介在してくることによって、それまで忘れていた・忘れようとしていた、あるいは気にしていなかった・気にしようとしてなかったことに気付かされるということだ。
つまり夫婦間に伏在していた疑問や不信などが、第三者によりあぶり出されてくるということ。もし彼がいなければ、この夫婦はいつも通りの日曜日を、いつものように一日ヨットで過ごして、また家に戻り、日常生活がそのまま淡々と続くことになるはずだったわけだ。
それが危機にさらされる。深刻な根本的な疑問が生まれることになる。もはやこの夫婦はこれまで通りやっていけるかどうか。ラストシーンは道路の分岐点で右に行くか、左(警察署)に行くか、引き返すかの決断を迫られることになる。車は止まったままで、映画は終わってしまう。