見出し画像

【こんな映画でした】103.[シャーロット・グレイ]

2018年 4月 5日 (木曜) [シャーロット・グレイ](2001年 CHARLOTTE GRAY 121分 イギリス/ドイツ/オーストラリア)

 ケイト・ブランシェット主演映画。ナチスものの映画と言ってもいいか。なかなか辛い内容だが、ドイツの軍人たちはあまり出てこない。つまりこの映画はある意味、フランスの問題を抉り出すものであるようだ。

 ジリアン・アームストロング監督は、おそらくフランスでは不評だろうと述べている。フランスのビィシー政権がその祖国のためという名目でナチスドイツに協力して、ユダヤ人を迫害したという歴史上の「汚点」を描く映画だからだ。

 このあたり、レジスタンスのジュリアンの父親に「祖国が自らを裏切るのを見たことがつらい」と言わせている。さらにドミニク(シャーロット・グレイ)に、「じゃ、なぜ戦うんだ?」と問う。ドミニクが「フランスのために」とこたえると、「国のために戦う? 人は家族のために戦うんだ」、と。

 ついで監督が気にしていたことに、言語の問題がある。主な舞台はフランスなので、私もフランス語が聞こえてくるかと思いきや、英語であった。映画の大市場がアメリカである以上、アメリカ人に英語字幕のフランス語音声で観せるせるわけには行かないというわけだ。もちろん他の有名な作品で、ドイツ兵が英語を喋ったりということはあるのだが。それと同じ英語でも「なまり」があるのを監督は気にしていた。

 なおビィシー政権は1944年8月に崩壊。ラストは、1945年の平和の訪れたフランスでシャーロットとジュリアンが再会するところで終わっている(これは原作の小説とは違うとか)。

 しかし解説によると、当時のヨーロッパでは、ユダヤ人に対する見方はかなり一般的にシビアなものがあったようだ。つまりヒトラーはその風潮に便乗した面もあるのかもしれない。監督は解説で、このフランスのナチスドイツに協力した人々を戦後取材したドキュメンタリー映画としてマックス・オフェルス監督の作品を勧めている。どんなものか観てみたいものだ。

いいなと思ったら応援しよう!