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【こんな映画でした】894.[ストックホルム・ペンシルベニア]

2021年 8月28日 (土曜) [ストックホルム・ペンシルベニア](2015年 STOCKHOLM, PENNSYLVANIA アメリカ 99分)

 アマゾンプライムで。ニコール・ベックウィズ監督作品。初めて。女性監督ならではと思われる内容の映画であった。シアーシャ・ローナン(レイア役)主演。母親役にシンシア・ニクソン、撮影当時47歳。[アマデウス](1984)で観ているようだ。父親役にデヴィッド・ウォーショフスキー、ベンをジェイソン・アイザックス(撮影当時51歳、初めて)。

 原題の「ストックホルム」は「ストックホルム症候群」のことを言うらしい。そういう解説がネットにあった。「ペンシルベニア」はそのままの「州」の名前というか、彼女がもともと住んでいたところ。つまり「STOCKHOLM SYNDROME IN PENNSYLVANIA」とでも言えるのかもしれない。

 対比的に描いてあるのだが、一つは17年間監禁していたベンの在りよう、そして帰ってきてからの母親の軟禁する様子。どちらが果たしてまともなのか、と問いかけてくるようでもある。形式だけでみれば前者がそうだ。窓がふさがれて外が見えないようした暗い部屋での生活。

 一方、両親の家は明るく開放的であったが、母親の「教育」が始まるやカーテンを引いて、まさにベンの時同様に暗くしている。どうも人を監禁するには明るくてはいけないようだ。

 ラストシーンのことでネット上の書き込みをたまたま見たが、彼女が公園で遊ぶ小さな女の子と目を合わせてニコッとするところから、彼女の二の舞にする気なのだと解釈している人がいた。私は単純に人と人とのほほえましい関係だとしか見なかったのだが。

 人は自分を理解し受容してくれる人と場所とにおいて、初めて居心地の良さを感じるものだ。だから彼女にとって必ずしもベンのところは、世間が思うように居心地が悪かったわけではない。むしろ良かったわけである。

 監禁生活からの解放は、ある意味その絆を断ち切られ、安住の地を奪われたということでもある。だから両親の元に連れ戻されても、なじむことはできなかったのだ。むしろ戸惑い、不安になり、何とかそのような状況におかれた自分を維持しようとそれだけで精一杯だったのだ。

 一貫してシアーシャ・ローナンが笑うことなく、クールな表情を見せている。しかもアップのシーンが多いのだ。そしてウェスト周りは太くしてある。そしてラストは家出をして解放された明るい気分を表現している(だけ)と私は思ったのだが。

 レイアの少女時代をAvery Phillips(as Leia, Aged 7)という子役がやっていたが、これがアビゲイル・ブレスリンにとても似ていて驚かされた。

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