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【こんな映画でした】501.[そして船は行く]
2021年 9月22日 (水曜) [そして船は行く](1983年 E LA NAVE VA AND THE SHIP SAILS ON イタリア/フランス 127分)
フェデリコ・フェリーニ監督作品。英語字幕版。やはり字幕が早くて(単語も分からなくて)セリフは追えなかったが、ともかく早く観たくて。辻邦生の『私の映画手帖』(1988年)に紹介されていた映画。
有名なソプラノ歌手が亡くなり、その散骨のために船がチャーターされる。それに参加した有名な歌手や指揮者たち、そしてジャーナリストが狂言回し(カメラ目線)で人々を紹介していく。
彼女がどんな人であったかの説明が、セリフで出てきているのだろうが、なかなか分からない。とまれ豪華な食事や衣装の船の生活が始まり、三日目の夜から事件が起きる。
折しもオーストリアの皇太子夫妻が暗殺されるという、あの第一次世界大戦の勃発。その夜、セルビア人の難民が船に救助される。もっともそのシーンはなく、いきなり甲板上に多くのみすぼらしい人々が登場する。あとから説明がある。
彼らは下の甲板で、客たちはそれを上から眺めるシーン。と、セルビア人たちが音楽とともに踊り出し、客たちも下へ降りて一緒に踊り出す人も出て来る。そんな中でセルビア人の若者と、客の中の若い娘とのロマンスが生まれていく様子をほのめかしている。あからさまにはないが、ラストシーンでそれは確認できる(セルビアの青年に彼女は付いていく)。
そこへオーストリー=ハンガリー帝国の戦艦がやって来て、セルビア人の引き渡しを要求する。それを拒否できないとして、ボートで彼らは戦艦へ。と、そのセルビア人の中の誰かが隠し持っていたダイナマイトを、近づいた戦艦に投げ込む。
それを誤認した戦艦側は、客船を砲撃。結果的に両者とも沈没していくことになるようだ。ただし人々はみな命を失うことなく、となっているようだ。
それにしても傑作なのはこのラストシーンである。甲板上にいる人たちが船が傾くことによりずり落ちていくのをカメラは俯瞰から撮り、ついでパンしてチルトダウン。要するにセットでの撮影の裏舞台を見せていくことに。
多くのスタッフと大仕掛けの甲板のセット、それらをなめるように映しだしていき映画は終わる。