【こんな映画でした】94.[さらば愛しきアウトロー]
2021年 2月 7日 (日曜) [さらば愛しきアウトロー](2018年 THE OLD MAN & THE GUN アメリカ 93分)
デヴィッド・ロウリー監督作品。初めて。『見るレッスン 映画史特別講義』(蓮實重彦 光文社 2020年)で、著者が最近注目している監督として紹介されていた。言われなければ、スーッとごく普通に見流していたことだろう、この映画。それぞれのショットがとても新鮮に思えた。映すべきをベストの距離と角度から映し、映さなくても分かることはサッと省略してしまう。なるほど見事と言うべきか。
製作・主演ロバート・レッドフォード(銀行強盗、フォレスト・タッカー役)、撮影当時82歳。さすがに顔の皺は凄い。それで74歳の役を。あと俳優で良かったのは、知り合った女性としがない刑事。女性はジュエル役のシシー・スペイセク(撮影当時68歳)。やはり老齢が顔に出ているが、見事であった。刑事ジョン・ハント役はケイシー・アフレック(撮影当時42歳)で、この監督のこれまでの3作品に出ている。
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人にはいろいろな生き方があるということ。タッカーにとっては、銀行強盗(といっても暴力は使わない)がいわば「趣味」であり、いちばんワクワクすることだったのだろう。17回目の脱獄はジュエルのサジェスチョンで実行しなかった。そして出所。
しかし、しばしの安楽な生活に耐えられなかったのか、ラストシーンのテロップでその後も4回銀行強盗をし、最後に捕まった時、彼はスマイリング、つまり笑っていた、と。