【こんな映画でした】89.[ハリーとトント]
2019年 3月18日 (月曜) [ハリーとトント](1974年 HARRY AND TONTO 117分 アメリカ)
ポール・マザースキー監督作品。これで四回目となる。最初は1989年8月22日で、テレビで観ているようだ。今回はバーゲンセールでブルーレイディスクを購入して。それにしても見事に忘れていた。本でもそうだが、すぐにそのストーリーを忘れてしまう。映画もほぼ同じことのようで、ちょっと悲しくなるが、致し方ない。過去には次のように書いている。
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2010年12月30日 (木曜) レンタルで本編を。続いて2011年 1月 4日 (火曜)に監督による音声解説版を観ている。この映画は猫が主役ということで、猫の登場する代表的な映画と言えるだろう。主役のアート・カーニーは当時56歳くらいで72歳の役を演じたようだ。そしてアカデミー主演男優賞を獲得している。
映画としてはロードムービーであり、下敷きにしているのは彼の『リア王』であろう。まず長男のところへ、次いで娘・次男と三カ所だが。老いてからの自立というのは、いずれ私も直面する。
で、今回。すっかり忘れてしまっていたことに、留置場に入れられたシーンで、ネィティブがハリーに肩の治療をしてくれるというもの。右肩にスパイラルテープのような小片を貼り、呪文を唱える。良くなったとハリーが言っていたが、それはまんざらでもないだろう。やはり貼ることに効能があるのではないか。呪文は気休めだろうが。
50年振りの再会のシーンは、ある種の残酷さ・悲惨さをともなうものだった。認知症であろう彼女の記憶は、まだらになっていた。辛いシーンである。今でも年寄りたちは、所在なげに公園のベンチで日がな一日過ごしているのだろうか。過去の楽しかったことの記憶をたどり、自慢しあいながらおしゃべりを続けるのだろうか。
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ハリーの現役の頃の仕事は、教師であったようだ。シェイクスピアの台詞がしばしば出てくるところからすると、英語(国語)か。そして『リア王』の話も、当然出てくる。観ている方は、これはリア王と同じパターンになるのかな、と思わせられる。
最終的にはロサンゼルスで一人で暮らすことになるが、一人の女性との出会いで、もしかしたらシェアハウス(ルーム)、ということになるのかもしれない。そのシーンの後、トントのような猫を見つけて(幻かもしれない)浜辺へ歩いて行く。...そこで映画は終わる。
単純なハッピーエンドにしないところが、ヨーロッパ映画的か。監督の名前から推察するとポーランド系なのかもしれない(あらためて調べてみると、祖父母がウクライナ出身とのこと)。映画の中でもポーランドからの移民の男性が、ハリーの友人におり、ナチスの話も出てくる。大人の会話としては、最後に女性と寝たのはいつか、などとも話している。