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【こんな映画でした】202.[群衆](1928)

2020年 8月 1日 (土曜) [群衆](1928年 THE CROWD アメリカ 104分)

 『アメリカ映画200』(キネマ旬報社 1989年)に入っていたので、見てみた。何度も途中で止めようかと思ったが、お勉強と我慢して最後まで何回かに分けて観た。それほどに私には嫌な気持ちにさせる映画であった。

 監督はキング・ヴィダーで無声映画。主演は男性はジェームズ・マーレィ(撮影当時27歳)、女性がエレノア・ボードマン(監督の妻)で、なかなか可愛い人ではあった。無声映画のせいか、ややオーバーアクションに思える。字幕が入るが、その中に「群衆」についてのチクリとした批判が込められている。

 所詮、一般庶民すなわち群衆とはこんなものだよ、といったところか。ただそれにしても男性がどうしようもない「あかんたれ」で、女性は何があってもしっかりしている、と描かれている。

 その情けない男性の描き方が、私には鼻につく。たしかにそういうまともに働きもせずに、自分の能力を買いかぶっている愚かな人間はいる。愛していると繰り返し言いながらも、家事などには協力しないというところも何ともはや。

 あげく下の子を交通事故で亡くし(これは親の責任)、夫婦も別れるところまでいくのだが、ぎりぎりでハッピーエンドに。ラストシーンは劇場での親子三人をどんどんカメラを引いていき、つまり群衆の中に埋もれさせて終わる(都会版バージョンで。地方都市バージョンではクリスマスイブの幸せな状景で終わるそうだ。未見)。

 他の映画、他の監督の作品と比較しては酷になるのかもしれないが、私には大いに不満の残る映画であった。なおマーレィはアルコール依存症で35才で、ハドソン川に飛び込んで亡くなったようだ。私はこの俳優は嫌いであった。もちろんそれは演出であるが、虫酸が走るという感じ。本人には酷だが、私はそう感じた。

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