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【こんな映画でした】59.[ウィンターズ・ボーン]

2021年 4月 2日 (金曜) [ウィンターズ・ボーン](2010年 WINTER'S BONE アメリカ 100分)

 デブラ・グラニック監督作品。撮影当時46歳くらいか、アメリカの女性監督。主役のリーにジェニファー・ローレンス(撮影当時20歳)で、なかなかしっかりした顔をしている。初めて。伯父はジョン・ホークスで、[スリー・ビルボード]で観たばかり。『ジェンダーで読む映画評/書評』(杉本貴代栄 学文社 2020年 \2200)の映画評で紹介されていた一作。

 言い方は良くないが、因習的な田舎での彼らの「掟」というものが支配する社会の一面を描く映画である。リーの父親がその掟を破り、リンチされ沼地に沈められたらしい。その周辺に住む一族の面々は皆、誰が彼を殺し、沈めたのかを知っているが、知らない振りをしている。それこそが掟の貫徹ということで。しかし父親の死を証明できなければ、リーたち家族は家を追い出されることになる。そこで、父親捜しが始まる。

 順調に進むわけがなかった。首を突っ込むな、と一族から暴力的に脅かされもする。しかし生活がかかっているリーは、それに立ち向かっていかざるをえない。ついに伯父が協力してくれ、真犯人たちがその死体のありかにリーを誘導、その骨と化した遺体を回収することができた。父親の死が証明されれば、家を抵当で取られることはないということだったので、これでひとまず問題は解決。

 なお原題についてはいま一つ分からない。「WINTER'S BONE」の「WINTER'S」はそのまま「冬の」と「末期の」ということかもしれない。「BONE」はお父さんの遺体の「骨」そのものと、「お金(money)」という意味もあるそうだ。

 たしかにラストで「骨」を警察に持っていき、父親の死を証明でき、その結果、保釈金保証人というのがリーにお金を持ってくる。父親の死が確認されたので預かっていた保釈金を家族に返却する、ということらしい。とまれ、それは「末期のカネ」ということにもなる。このお金でリーたちは食いつなげることになるのだろう。凄まじい映画である。

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