【こんな映画でした】818.[砂漠の流れ者]
2023年 6月16日 (金曜) [砂漠の流れ者](1970年 THE BALLAD OF CABLE HOGUE アメリカ 122分)
サム・ペキンパー監督作品。ジェイソン・ロバーズ(撮影当時47歳)主演。[大統領の陰謀](1976)・[ジュリア](1977)を観ている。相手役の女優はステラ・スティーヴンス(撮影当時21歳)、[ポセイドン・アドベンチャー](1972)で観ている。奇しくも去る2月17日に亡くなっている。
この映画は、評論家によっては「最後の西部劇」と言っているようだが、その通りかなと思わせられた。というのはラストに何と自動車が、そしてオートバイまで登場するのである。それともう一つ、主人公が死ぬことだ。しかも何とその自動車に轢かれて。
ここまで象徴的にやられたら、まさしくこれは西部劇の終焉かと思わせられた。ハッピーエンドにならないのだ。だから興行的には失敗だったとのこと。特典映像でステラ・スティーヴンスは、良い映画だったと述べている。
登場人物でも、偽(?)牧師が狂言回しとなっており、やたらキリスト教的な言辞を披露する。西部劇の必須アイテムとされた「インディアン」は出てこない。駅馬車と女性と悪漢が出てくるが、主人公はそんなに強くはない。二人の悪漢にやられて、砂漠に放り出されているのだ。そこからのサバイバルで、水を発見し、そこに駅馬車の中継地を作り、生計を立てていくことになるというお話である。
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水の出る土地については、すぐに登記しておかないと、との牧師のアドバイスで主人公は町に出かける。そこでステラ・スティーヴンス扮する娼婦に出会う(ここで面白いショットが挿入されている。つまり彼女の胸元のアップをカットバック風に数回見せているのだ。もちろん主人公が見ているということ)。
すったもんだの彼女とのやりとりがあり、いずれ彼女が真面目な人たちから娼婦であることを理由に町を追いだされ、この主人公のいる中継地までやって来る。ここで3週間ほど過ごすことに。もちろん徐々に彼らの間には愛着が生まれていく。しかし牧師が再びやって来たとき、彼女は予定通りにサンフランシスコへ旅立つ。
それからどれ位の時間が経ったのかは分からないが、ラストシーン近く、彼女がショーファードリブンで戻ってくる。その直前に例の二人組の悪漢がこの中継地にやって来、主人公から金を奪おうとするシーンがある。一人を撃ち殺し、もう一人は降伏することに。
結末は悲しいものだ。彼女の乗ってきた自動車に水を補給するために作業をしているとき、ブレーキが不十分だったのだろう、車が動き出し、それを止めようと主人公が立ちはだかるのだが、ついに轢かれてしまう。
愛する彼女を横に、彼は死んでいく。ラストシーンは葬儀の模様と、それぞれが立ち去っていく様を描いて終わるのだった。西部劇の終焉、といったところだ。