【こんな映画でした】84.[ハウス・バイ・ザ・リバー]
2021年 2月 1日 (月曜) [ハウス・バイ・ザ・リバー](1950年 HOUSE BY THE RIVER アメリカ 84分)
フリッツ・ラング監督作品。主役の作家をルイス・ヘイワード(撮影当時40歳)、その弟ジョンをリー・ボウマン(撮影当時35歳、[邂逅(めぐりあい)](1939)で観ている)、作家の妻をジェーン・ワイアット(撮影当時39歳)、[紳士協定](1947)・[影なき殺人](1947)で観ている。
最初に犯人を観客に見せておいて、その後どうなるかと展開していくもの。ラストシーンはどう解釈すればいいのか迷うところ。あえて迷わせるようにして終わらせているのかもしれない。
つまり作家は、エミリーの亡霊を見て、階段から転落する。ただそれで死んだのかどうかは分からないまま。彼は死ぬ前に、弟ジョンの家の掛け時計の中にメアリーが盗んだとされる妻のイヤリングを隠している。さらに妻が読んでいた原稿『死の川』に、犯人は弟ジョンであると書かれているようだ。
そんなことから果たして真犯人は、作家自身である、と証明できるだろうか。証拠があるだろうか。弟ジョンは無実を証明できるだろうか。そのあたりには触れずにサッと終わってしまっている。
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なお時代背景としては、まだ電話がなく、作家はタイプライターを使っていない。そんなことからアメリカ合衆国の19世紀後半の早い時期なのかもしれない。あと、この兄弟の有様を見ていると、「カインとアベル」を連想する。
解説には「小説家のスティーブンは、妻の留守中にメイドを誘惑し殺してしまう。彼は目撃者の弟ジョンを脅し、二人で死体を川に捨てるが……。背景描写とともに犯人の性癖が強烈に描き出された、必見のフリッツ・ラング未公開作!」、と。
なお邦題は、ただカタカナに置き換えただけ。「川辺の家」・「川べりの家」・「河畔の家」とか何とか付けられたと思うのだが。