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【こんな映画でした】198.[ロベレ将軍]

2020年 2月18日 (火曜) [ロベレ将軍](1959年 IL GENERALE DELLA ROVERE イタリア 139分)

 ロベルト・ロッセリーニ監督作品。予想通りしんどく重い内容。前半は主人公(ビットリオ・デ・シーカ)が、ギャンブル狂でだらしない人間であることを、ややしつこいほどに描く。中には女性との浮いた話も。三人ほど女優が出てくるがいずれも美人である。贅沢な使い方といったところ。もっともそれは私が思うだけかもしれないが。

 いずれ経歴詐称で捕まるが、彼のやっていたことは100%悪いこととは言えないことが分かる。何人かの人たちの切なる願いを聞き、斡旋して助けてやろうとしていたともいえるのだ。もちろん謝礼を受け取って。

 ところがその本来、彼らの親族の釈放のために使われるはずのお金をギャンブルですってしまうのだ。賭博シーンは一回だけだが、折角昔の彼女にもらったなけなしの3万リラも一瞬で失う。そしてとうとう最後に、その詐欺的なやり方で捕まってしまう。それもドイツ軍の警察に。

 ここからいよいよ「ロベレ将軍」に成り代わった彼の、最後のシーンまでを一気に見せる。一旦、ドイツ軍の言いなりになってスパイのようになるも、最後は予想通り「イタリア万歳」!


(128分~、獄中で処刑者リストに挙げられた者たちが集められている。ファブリッツィオと他の男たちとのやりとり)
 わたしは何もしてないんだ。開けろ、出してくれ
 恥を知りたまえ
 恥を知れと?
 死にたくないから?
 何もせずに
 (ファブリッツィオ)落ち着いて。本当に何もしてないのですか?
 本当に何もしてません
 でも、それこそが間違いなのです。何もしなかった? 5年間の戦争で何百万人が死に、何百もの町が灰と化した。でも、何もしなかった
 (別の男性)何かすべきでした。立場を明らかにすべきでした。なのに騒乱の只中何もせず、いや自己保身には走り、その上殺し合いのさなかに金儲けしていたとは虫が良すぎる
 (ファブリッツィオ)なるほど何もせずに銃殺されたくないわけだ。ではあなたは何を?
 わずかでも責任を全うしたと思いたい。それだけでいいのです。この状況も皆の行動できっと防げた

(137分~、ロベレ将軍が銃殺される直前、残りの10人に)
 諸君、この最後の時にあたって、家族に祖国に国王陛下に思いを馳せよう。イタリア万歳!

 この映画の背景は世界史を知っていないと分かりにくい。この舞台はドイツ軍がイタリアを制圧・支配している地域(「イタリア社会共和国」という傀儡政権の)。もともとは日独伊三国同盟で仲間同士であったが、いち早くイタリアが連合軍に降伏。その後イタリアはドイツに対し参戦することになったわけだが。

 そしてここで出てくるパルチザンたちは、そのドイツ軍にレジスタンス活動を展開する。当然弾圧されるわけで、最後に捕まってきた9人も、その容疑である。その中にリーダー格のファブリッツィオがいるということで。
 ただ、どの男がファブリッツィオであるかをドイツ軍は分かっていない。そこで偽ロベレ将軍に見つけ出すよう指示をする。
 結果的には彼はしくじり、床屋のバンケッリが拷問され、自殺する。ここに到って、彼は目覚めることになる。

 またもう一つ言えば、イタリアの地域ごとの背景を知らないと、どこそこの出身とかいう話の微妙なニュアンスは分からないだろう。

 あと連想したことだが、同様の映画がある。一つは黒澤明の映画[影武者]で、武田信玄の代わりになった男。もう一つは映画[群衆]のジョン・ドゥ。いずれも最初はそんな気持はなかったのに、まもなく変化していくのだった。意気に感じての行動だろう。

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