【こんな映画でした】973.[スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師]
2021年11月16日 (火曜) [スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師](2007年 SWEENEY TODD: THE DEMON BARBER OF FLEET STREET アメリカ 117分)
ティム・バートン監督作品。ジョニー・デップ(撮影当時43歳)主演。相手役のミセス・ラベットをヘレナ・ボナム・カーター(撮影当時40歳)。名前を覚えていなかったが、何本か観ている。ここではメークが凄いので分かりにくかった。ちなみにこの異様なメイクは、これは映画であり、絵空事・虚構であることを観客にアピールするためだろうと、後で気がついた。
いずれにせよこの映画は、当時一般に流布していた都市伝説としての猟奇殺人事件をもとにしたものとか。実話であると主張する者もいるが証明されていない、と。たしかに観ていて途中でこれは純粋な創作ではないだろう、でないとこんな映画を観に来る客はないだろうから、と。観客はそのあたりのことを知っていたということだ。
なお既に[スウィーニー・トッド](1997年 THE TALE OF SWEENEY TODD)の題名でジョン・シュレシンジャー監督が製作している。つまり今作はそのリメイクというか、二作目というか。
何にせよ悲しい復讐劇である。ミセス・ラベットの思惑のせいで妻ルーシーも自殺していると思い込まされていたのも、その不幸と復讐心を助長するものだった。ジョニー・デップの鬼気迫る演技ということになるか。見ていて気持ちのいいものではないが、これも映画の一ジャンルとして成立するわけだ。
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ストーリーの発端は、この町の判事がトッドの妻ルーシーを見初め、これを奪うためにトッド(当時はベーカー)を無実の罪でとらえ終身刑にするというもの。これは日本でもかつてあった代官や殿様が村で見初めた女性を奪うというもの。
余談だが、手塚治虫の『火の鳥』の古代編だったかで、同様の憂き目にあわないために日中というか外に出る時には、何と「ブスメイク」をするというエピソードがあった。夜、結婚した相手に初めて素顔を見せるのだが、それが美人であったというもの。
いずれの時代でも、いずこの場所でも同様のことが、権力者によって行われているということだ。