【こんな映画でした】974.[ノイズ]
2022年12月15日 (木曜) [ノイズ](1999年 THE ASTRONAUT'S WIFE アメリカ 109分)
ランド・ラビッチ監督作品。原題は「宇宙飛行士の妻」。これはSFサスペンスとあるが、ややホラーといった感じ。宇宙での二分間の交信途絶の間に何かがあった、ということで展開する。もちろんその何かとは、明らかにされない。
ただ帰還した二人の宇宙飛行士のうち年配者はまもなく亡くなる。心臓への負担が大きかったとされる。そして残されたその妻のお腹には双子が妊娠三か月で。しかし原因不明でこの妻は自殺してしまう。
それを見た宇宙飛行士スペンサー(ジョニー・デップ、撮影当時35歳)の妻ジリアン(シャーリーズ・セロン、撮影当時23歳)は、だんだんと精神状態が不安定になる。そして同様に、双子を妊娠する。
スペンサーにその途絶した二分間のことを聞いても答えてくれない。そして何となく以前のスペンサーと違うのではないかと疑心暗鬼になっていく。そこに元NASAの職員リースがやって来て、今のスペンサーはあなたの夫ではない、と。しかも、彼はまもなくスペンサーによって消されてしまう。さらにジリアンの妹も。
ジリアンは逃げるが、逃げ切れない。最終的に感電させてニセモノの夫スペンサーを退治(?)することに。ラストシーンは双子を産んだジリアンが再婚して、夫婦でその小学生になった双子の男の子をスクールバスで見送るところ。
彼ら二人がチラッとジリアンに鋭い視線を注ぐ。バスに乗り込んだ二人は本を読みながらヘッドホンをしている。そこからジージーという「ノイズ」が聞こえてきてフェイドアウト。
最後にまたゾクッとさせられる。双子は宇宙人の子どもなのか、はたまた普通にスペンサーの子どもなのか。あるいはジリアンもニセモノのスペンサーの死の直前に乗り移られてしまっていて、もう元のジリアンではないのかもしれない。等々、分からないまま映画は終わる。
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ジョニー・デップ自身は、メイキングのインタビューで、二分間のことをエイリアンの侵入とは捉えずに、それは一つの切っ掛けで、人間が本来持っている二面性のもう一面が出てきたのではないか。つまり良き夫・良き社会人としてそれまでの姿がかき消えて、本来の面が出てきたのではないか、そんなようなことを言っていた。
考えようによっては深いものがあるかもしれないが、まずはエンタテインメントということで。なおすでに何本が観てきたシャーリーズ・セロンが若い。