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【こんな映画でした】181.[エルマー・ガントリー/魅せられた男]
2020年10月31日 (土曜) [エルマー・ガントリー/魅せられた男](1960年 ELMER GANTRY アメリカ 147分)
リチャード・ブルックス監督作品。これはいろいろ考えさせられる良い映画であった。バート・ランカスター主演、撮影当時47歳くらいか。アカデミー賞主演男優賞を取っているが、なるほど、と。
シスター役はジーン・シモンズ、撮影当時31歳。1960年、監督のリチャード・ブルックスと結婚している。なかなか微妙な役どころであった。神のお告げによって、それを代弁するという、まるでジャンヌ・ダルクと同様の。
ここで問題となっている「信仰復興運動」とは事実、アメリカ合衆国の歴史の中であったことのようだ。「Great Awakening 18世紀前半のアメリカ植民地の宗教運動。大覚醒(だいかくせい)運動とも訳す。(日本大百科全書)」。もっとも映画の中で自動車が走っているので、時代は20世紀初頭になるのだろう。
この映画でみる限り、神の恩寵を説きつつも、もしそうでなければ罪人として地獄に墜ちる、といった脅しが中心となっているようだ。人は弱いものだ。そのような脅迫まがいの信仰強制を迫られたら、なかなか否定できるものではないだろう。
そして効果的に使われるのが音楽である。楽隊と合唱隊を擁して各地を布教して回る。ハレルヤ(日本語バージョンでは「線路は続くよどこまでも」)を歌うのだ。ただ彼らのサラリーもシスターとそのグループが負担するわけで、布教活動の最後には献金のためのバケツが回されていた。
最後にシスターは「殉教」(?)することになるのだが、スラム街出身で恋も知らなかった彼女の幸せとは何だったのだろう、と。