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【こんな映画でした】1065.[フォーリング・ダウン]
2023年 8月11日(金曜) [フォーリング・ダウン](1993年 FALLING DOWN アメリカ 118分)
ジョエル・シューマッハー監督作品。マイケル・ダグラス主演。サンドラ役のレイチェル・ティコティンが良い。そして刑事にロバート・デュヴァル。渋い。オープニングシーンの車の渋滞シーンから、映画を観ている観客もどんどんイライラが募っていく。そして主人公は、ここから完璧にキレていく。
おいおい分かってくるが、彼は一月前にミサイル製造会社を首になり、妻ともすでに離婚している。一人娘への養育費の支払いも滞りがちのようだ。しかし、今日はその娘の誕生日なのでプレゼントを持って、何としても会いに行きたい。そんな一日の始まりが工事渋滞なのであった。
そこから先は題名通りに最後までいってしまう。「FALLING DOWN」は「倒れる、転倒する、平伏する、病に臥す、失敗する、崩れる、流れ下る、訪ねる、やって来る、破損状態にある、荒れている、瓦解する、落ちる、倒壊する」との意。
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人間として人格的にも、もうすでにかなり異常な方向に向かっている主人公が、ますますエスカレートしていく。その犠牲になるのが、雑貨屋の韓国人・軍隊関連の服や武器を売るショップの男性・ゴルフ場での金持ち、等々。彼らに暴力を振るっていく。
刑事は、今日が退職の日。妻のせいもあり長く内勤であったが、この日はついに外へ出てこの異常な主人公を追いかけることに。サンドラという女性刑事が相方。
ラストシーンは、主人公が右のポケットから銃のようなものを出そうとした、として射殺される。欄干を破ってその下の海に転落する。まさしく「フォーリング・ダウン」。
結局、彼がどうしてそこまで徹底的にある種の異常性を発揮することになってしまったのか。ヒントはいろいろあるが、最後は私たち観客が考えることになるのだろう。
なかなかの映画であった。もちろん観ていてしんどい映画ではあるが。振り返って、あのオープニングシーンの渋滞を長々と撮していた意味が理解できる。