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noteを書く理由
noteを書き始めた理由については、最初の頃に書いた通り、自分自身の気持ちの整理というのがまず一番。
クロイツフェルト・ヤコブ病
主人がこの病気に罹患して、亡くなるまでの約2年間。
時間がたった今だから書けた。
その当時はそんな気持ちの余裕も無かったし、感情が先走って、書けなかったと思う。
これも以前書いたけど、ヤコブ病について調べた時、情報の少なさに泣かされた。
指定難病についての、まったくもって救いの無い病気の説明のみが数カ所あった。
あとはひたすら論文。
唯一、ヤコブ病患者家族の掲示板のみが、生きた言葉を伝えてくれた。
この情報にあふれた世の中に、探しても探しても、こんなにも出て来ないものなのか。
不安感と一緒に、孤独感が大きくなった。
「治療法はない」事は分かった。
でも、どうしたら一番良いのか分からない。
これからどうなるのかも分からない。
自分に何が出来るのか。具体的な事は何ひとつない。
そんな事ばかり考えていた。
だから、書いておこうという気持ちもあった。
参考になるとも、慰めになるとも思わない。
でも、何も出来なくても、仕方がないんだと伝えたい。
医者だって何も出来ないんだもの。
ただ日々を追うのが精一杯だった事を、知ってもらえるだけで良い。
情報のカケラくらいになれたら。
そんな気持ちを引きずりながら、とりあえず書き進めて行ってたある日、コメントをいただいた。
同じく、御主人がヤコブ病で介護中という方だった。
「届いた」という思いと、今もヤコブ病と向き合っている人がやはりいるのだという現実。
クロイツフェルト・ヤコブ病は、年間100人~200人ほど発症し、殆どが半年〜2年ほどで亡くなる。
私が調べた時で、国内の患者数は400人くらいだったと思う。
病気の特性から言うと、毎年患者数の半分くらいは入れ替わっているという事になる。
世の中の大半の人にとっては殆ど関わりの無い病気かも知れない。
だけど、この病気の患者も患者家族も、病気を告げられる直前まで、同じように関わりの無い世界で生きて来た人達なのだ。
ヤコブ病だけではない。
事実として、原因も治療法も分からない病気がある。
それを知って欲しい。
そして、もし近くにそういう人が居たら、ただつらい気持ちに寄り添ってもらえたら、と思う。
たとえ親切心や心配からでも、治療法を探してみようとか、原因を見つけようとか、もっと良い医者や病院はないのかとかは、必要無い。
患者家族の、無力感を再認識させるだけの言葉は、暴力に等しい。