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兵庫県は須磨・垂水を訪ねて①

この日も平日の仕事をなんとかこなし(もちろん安宿→職場→安宿の往復運動が中心の悪夢のような日々、以後、この往復運動を–100%〈マイナス100パーセント〉と呼ぶことにする)、週末に海沿いのホーム探しという気の遠くなるような毎日を送っていた。

次に、私たち四国ではなく京都から見ると少し手前に位置する兵庫県須磨周辺を見てみることにした。

須磨には高校時代の友人のスマ君も住んでいたし、久しぶりに彼と話もしたかった。

高校から30歳になるくらいまで私は音楽でしか人と触れ合わず本当に閉鎖的で偏屈な人間だったと思う。今でもきっと本質は変わらないけど、それでも少しばかりはマシな人間になった。
実際、私が演奏をやめると、まるで止まった音楽みたいに、その時の友達とも随分疎遠になってしまった。いや自分からわざと距離をとったというのが本音だ(みんなごめんなさい)。

そのことについてはまたここにも書きたいけど、もう少し我慢して瀬戸内海、海沿いの話に集中しよう。

須磨に住む友人のスマ君(仮名)は、そんな私には珍しく、音楽以外でできた友達だった。彼は音楽も聴かなかったし、いわゆる私の「カルチャー」的な部分には殆ど興味を示さず、しかし別に否定もしなかった。お互い取り立てて周囲に対して「いいやつ」、褒められたもんじゃないところもあったけど、今考えるとそれでも、お互い尊敬しあえるところがあったんだと思う。私としては連絡が空いていても、彼のことを友達ということに対し少しも憚られないし、損得勘定や何の利害関係もない数少ない人間の一人だ。

彼が結婚してからは、たまの連絡以外は殆ど交流は取り合ってなかったが、いつか須磨にも行きたいと話していたからちょうど良かった。スマ君は私の妻とも仲が良かったこともあり彼のドライブで須磨を案内してもらうことになった。

妻曰く、須磨海岸には有名なホットドッグのお店があるらしい。相変わらず、こういうことにかけてのアンテナが凄まじく高い。

そんなアンテナ高めの妻曰く、そのお店は「コペンハーゲンヤミーホットドッグというデンマーク人店主が営むお店で、B‘zの聖地」なのだそうだ。

なんと圧縮された,最早(もはや)キャッチーなのかどうかわからない,情報を飲み込むのに時間のかかるプロフィールであろうか。15年前くらいにライブハウスに並んだフライヤーで見た、知らない海外バンドのよくわからないキャッチコピーと同じ印象さえ受ける。

まぁそれでもインターネットで見てみると、とにかくコペンハーゲンのホットドッグは美味しいことだけは確からしかった。

私たちは土曜日の早朝、ホットドッグとスマ君を目指し須磨へ向かった。

続く

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