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呼称を持たないわたしたち

【アラフォー非常識恋愛コラム・その8】

おはようございます。家路です。
事務作業や家事をするときに、よくFMラジオを聴いています。
手と目を動かしながら耳はラジオのおしゃべりに傾けていると、
腰が重い作業でも意外と機嫌良くこなせる。
ラジオの仕事は「空気を作ること」かもしれないなと、
天気予報を聴きつつ手を止め、窓から差し込む光を眺める。

ゲストの女性ミュージシャン(誰だったかは忘れてしまった)が
好きな本を紹介していたことがあった。
声の様子からして二十代後半かな、と言ったところ。
その彼女が
「わたし、実は文学少女なんですよ、
あっでももう少女じゃないから……文学熟女?」ふふ、と笑った。

そうか、少女の先には呼称がないんだ。
その瞬間わたしは、ずっとモヤモヤしていたものの姿をはっきり捉えた気がした。
女、ではざっくりしすぎている。
熟女、って言ったらいきなりもう五月みどりさん級のムンムンした味わいが出る。
BBA、は自虐が過ぎてて悲しくなる。おばさん、も同様。
四十代女子?やめて、それは幾ら何でも違う。

今の所いちばんフラットなのは「アラフォー女性」だろう。
若干長いが、特に肯定的でも否定的でもない、まさにフラットな呼称。
ただし年齢で括るので範囲が狭くなるきらいがある。

アラフォー女性をターゲットにした雑誌を見るたびに起こるモヤモヤ、
みんな何かを言いあぐねているあの感じ。
奥底に渦巻いてる欲望の上澄みだけを掬い取ったような綺麗ごとばかり。
記事の中では「女は月に一度ココロだけ浮気する」なんて言って、主婦が
イケメンパティシエのいるカフェに通ったりする。
そんなもんじゃないでしょー。ほんとのところは、普通にデートしたいでしょ。
カフェでイケメン眺めるためだけに二万三千円のスカートなんか買えないって。
本音で企画してんのかー!喝!
とか言いつつ雑誌も大好きなので買って読んでるけど。

きっと核になる言葉、
アラフォー以上の女性たちの呼称を探しているのです。
以前は雑誌がその呼称を作る役割をしていた(「ちょいワルおやじ」が流行語になったのは2005年、美STも昨年ぐらいから「美魔女」をうたわなくなった)。
けど、もう今やそんな体力はないのかな……
「GINZA」なんかはファッションに特化していて、年齢で読者を選ぶことをハナからやってない。こういうのもニュートラルで好きだし、時代はそっち(恋愛やセックスは生々しいのでファッションと切り離す傾向)なのかな。
さみしく感じながら、それならと詩人はペンを取る。いや、キーを打つ。
そこに確かに「ある」のに捕まえられない、
その「何か」を言葉という網で捕まえるのが詩人の仕事。
メディアがつくれないのなら、わたしがやってしんぜよう。
目下、周囲に定着しそうな新しい呼称を練り続けている。

ちなみに現在流通している言葉の中では個人的に「年増」が
適度な知性と包容力を感じさせて好きです。
大久保佳代子さんみたいなイメージ。うん、悪くない。そして重くない。

男の人には「おじさま」という深みとエロみのある呼称があっていいなぁ。


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