詐欺師の警察官

2004年6月。うつ病を治す為には、とにかく楽しいことをすればいいんじゃないか?
そう思った俺は、観光ガイドを片手にJR上野駅付近にあるおもちゃ屋「ヤマシロヤ」に向かっていた。
観光ガイドによればこのおもちゃ屋は、豊富な種類の食玩やフィギュアを販売しているらしい。
それを見るだけで俺の心はルンルンになった。

上野駅に降り立ち、改札に向かって歩いていると、制服を着た警察官が視界に入ってきた。
警察官は2人いた。
1人は、小太りで髪がサラサラの男。年齢は35歳くらい。
もう1人は、逆三角形の輪郭をしていてやせ型。年齢は27歳くらい。
俺は、その警察官を見て思わず逃げるようにしてしまった。
警察官を見るとこういう心理が働くよね。
それで、それが原因で警察官に呼び止められる。人生初の職務質問のはじまりはじまり。

警察官は、俺のリュックを漁ってきた。まるでおさるさんみたい。
すると、飲み終えた缶チューハイの缶が出てきて、俺が路上で飲んだことを話した。そしたら何てことをするんだと驚いていた。
それで2人ともマトモそうな人だから、高校時代のノリで唐突に「ラリってる」「ラリパッパだ」とふざけて言っちゃった。
直前に実話マッドマックス系の本を読んだ影響なんだけれどね。

その後、小太りの警察官が俺が提示した保険証を持って、無線で何かを確認する為にどこかに行っちゃった。

その保険証にはこう書いてあったんだ。

有限会社福山。

そして身分は正社員。

これがその後の悲劇を招くことになるとは…。

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キングタカシ
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