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アンジェリーナ・ジョリー主演『Maria』で描かれるマリア・カラスの孤独と栄光:私の人生はまるでオペラ

アンジェリーナ・ジョリー主演による、伝説のオペラ歌手、マリア・カラスの伝記映画『Maria』をネトフリで見ました。

オペラが好きなのに、マリア・カラスの人生について私は何も知らなかったので、この映画を見ることができて良かった!できれば劇場で観たかったけど。

アンジェリーナ・ジョリーは特に好きな女優さんでもなかったのですが、その美しさや表現力に圧倒され、実際にオペラを歌っている部分もあったということで、仰天しました。

この映画は、オペラ舞台で演じた悲劇の一部になってしまったオペラ歌手、マリア・カラスの、痛いほど孤独なパリでの晩年を描いた作品。

アンジェリーナは去年ヴェネツィア国際映画祭において、この映画を見た人たちからサラ・グランデ劇場で8分間のスタンディングオベーションを受け、涙を流していた姿をショートで見てから、ぜひ観たい!と思って今日になってしまいました。

ヴェネツィア国際映画祭のときの彼女の美しさ。賞賛に値する作品でした♡


オペラ好きでなくても、名前くらいは聞いたことがあるかもしれないソプラの歌手の、マリア・カラスはアメリカ生まれだったことを、私は今更知りました。

ギリシャ移民の両親のもとに生まれ、13歳の時に両親が離婚。それで母親と姉妹とともにアテネへ移住し、暗黒時代を経てからギリシャ国立音楽院で声楽教育を受け、17歳でプロとしてデビューを果たします。その後、「世界のオペラの女王」と称賛されるほどキャリアを登り詰めます。

かつてマリアが歌ったオペラの曲がたっぷりと贅沢に使われているので、オペラ好きにはたまらない!。何より一番驚いたのは、アンジェリーナ・ジョリーも実際に歌っている部分があったとのこと。口の動きなどをもパーフェクトなのでまったく違和感もないのです。


アンジェリーナ演じるマリアのファッション、立ち振る舞い、年齢相当の美しさ、気品。アクセントのある英語と、ぶっきらぼうだけど意味のある言葉たち。すべてに魅了されました。

彼女が演じるのは、マリアの人生最後の一週間。

パリに暮らし、未来への希望を失ったマリアが過去を振り返る孤独さが身に沁みます。中毒性の高い鎮静剤により幻覚の世界に入り込んでしまう。

1970年代後半、マリア・カラスは声をコントロールする力を失いました。その一方で、愛人への想いが心に重くのしかかり、明らかに鬱状態に陥っていたようです。才能、美貌、名声を持つ彼女には、もっと違った人生もあったのではないかと思わずにはいられません。でも、本人にとっては、その輝かしい外面の裏でどれほど苦しい思いを抱えていたことでしょう。

マリアは、巨万の富を誇るオナシス、そして暗殺された故ケネディ大統領の妻ジャクリーンとの三角関係にありましたが、それも今や過去の出来事となり、歌にも挫折し、人生の目的を見つけるのに苦労していました。

心理学者ポール・ウィンクは次のように指摘します。「彼女がオナシスと関係を持つようになったとき、オペラは彼女の人生ではなくなり、オナシスが人生そのものになりました。それでも、自分自身のアイデンティティを見つけることができなかった。それが彼女が絶望の中で暮らし、マンドラックスに依存し、隠遁生活を送る理由です」。(米国TIME誌より)



実生活もオペラそのものだったマリア

マリア・カラス、アリストテレス・オナシス、ジャクリーン(ジャッキー)・ケネディの関係は、20世紀のもっとも有名で複雑な三角関係の一つです。知りたい人だけ読んでください。

マリア・カラスとアリストテレス・オナシスは、1957年に豪華なパーティで初めて出会いました。その後、マリアと夫はオナシスのヨット「クリスティーナ号」に招待され、なんとそのクルーズ中にカラスとオナシスは親密な関係となり、不倫関係が始まりまったのです。

2人は1959年から1968年までの約9年間も愛人関係となり、マリアはオナシスとの子供を妊娠しましたが、流産を経験しています。

ところが!

1968年、オナシスは突然カラスではなく、ジャクリーン・ケネディ(暗殺された故ジョン・F・ケネディ大統領の未亡人)と結婚してしまったのです。

これにより、マリアの孤独が始まります。

とはいえ、オナシスとマリアは連絡を取り合っていました。オナシスが晩年に病気で苦しんでいた際、カラスは彼を訪ね、最期を見届けました。オナシスはすでに高齢だったのです。


歌うことに希望を見いだせず愛人も失った53歳のマリアの、狂気的とすらいえる孤独を強烈に描いた作品なのです。

オペラはもともと悲劇が多く、テーマは常に愛、裏切り、復讐、死といった深刻なものばかりですよね。現代の視点で見ると、時代錯誤に感じる部分もありますが、それでも感情の激しさには圧倒されます。もし毎日そんな世界にどっぷり浸っていれば、自分の人生そのものがオペラのようになっていくのも、なんとなく納得できる気がします。

幸せに生きるためには、オペラの登場人物たちとは違う選択をすることが大事だ

ってオペラを見るたびに改めて思うのです。笑




以下はマリア・カラス関連の本やドキュメンタリー


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