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読書感想『「いい人」の本性』第九章 対話絶対論者

第九章 対話絶対論者

今回の飯山氏の出だしはこうだ。
人間の歴史は戦争の歴史である。2022/2にはロシアがウクライナに軍事侵攻した。私の専門である中東地域においても、シリアやイエメンでは十年以上内戦が続き、パレスチナからイスラエルには定期的に、時に数百発のロケット弾が撃ち込まれ、エジプトでは「テロとの戦い」で毎年多くの兵士が犠牲になっている。

こうした世界の現状とは裏腹な、あらゆる争いは「対話」で解決すべきだと大上段から居丈高に説教する言説が日本では目立つ。代表格が全国紙の社説だ。

朝日新聞は2022/11/4、「ロシアの戦争 市民の命『人質』許さぬ」という社説で、ウクライナからの食料輸出に関する国際合意をロシアが無期限に停止したことを批判した。一方で当該事項について「交戦中のウクライナとロシアが互いに交渉を拒むなか、仲介者の努力と工夫で膠着を打開した貴重な事例であり、将来の停戦交渉に向けたモデルにもなり得るもの」と称賛し、「脅しに屈せず、粘り強く働きかけて、譲歩を引き出す。たとえ戦争中であっても外交が力を発揮する。その重要な前例としたい」と述べた。

この朝日新聞の社説に対して飯山氏は鋭く指摘する。

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拝金主義者、中立を装う人、国際テロ事件の首謀者、容疑者は「かわいそうな弱者」、弱者ポジションのうばい合い(争奪戦)……興味ある章タイトルの並ぶ著作を一章ごとに掘り下げた読書感想という名の述懐。

飯山陽氏の『「いい人」の本性』の読書感想を章単位で記述。 著作の内容から想起したわたし自身の体験や思いを書き綴る。まえがきから一章ごとの記…

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