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ルソー 天然ヘタウマの冴えた色彩

今回はアンリ・ルソー。
うん。天然ヘタウマ。色々と勘違い甚だしい。でも憎めない日曜画家
「ルソー本当は絵が上手い説」なんてのもあるけど、そんなの一枚も残ってない。なのに絵画教室の先生になったりしてる。
特筆すべきはその色彩感覚の素晴らしさ。彼の描くジャングルの木々や葉の色のバランスはとても美しい(他に褒めるところはない)ってことで。
概要はAIで。



アンリ・ルソー
(Henri Rousseau)は、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したフランスの素朴派の画家でした。彼は下手な画家と評されることが多いものの、色彩感覚や繊細な表現に優れていました。彼はパリ市の税関で約20年間働きながら、仕事の余暇に絵を描いていた「日曜画家」として知られています。そのため、「ドゥアニエ(税関吏)・ルソー」という通称でも呼ばれていました。

ルソーの作品は、独自のスタイルで知られており、ベタ塗りの筆使いや狂った遠近感が特徴です。彼は熱帯のジャングルを舞台にした多くの作品を描きましたが、実際には南国へ行ったことはありませんでした。

彼の作品は、19世紀末から20世紀初頭に、シュルレアリスムを先取りしたとも言える独創的な絵画世界を創造しました。アンリ・ルソーの作品は、今でも多くの人々に愛されています。

私自身、肖像=風景」は、アンリ・ルソーがまだ税関吏として働いていた時に描いた作品の一つです。彼は自分の46歳の姿を描いた自画像作品で、1889年に開催されたパリ万国博覧会を背景にしています。この作品は、ルソーが死の間際まで手放さず、加筆し続けたと言われています。

風景の中の自画像 私自身、肖像=風景

うーん。色々と突っ込みどころ満載の自画像ですよ。いくつ気が付きます?
まず足が浮いてますよね(笑)靴だと確実に浮いたような絵になってたそうです。あとルソー自身がデカすぎる。彼は自分のことを古典的大画家だと思い込んでいたので偉大だからデカいのです(笑)
んで、遠近法が無茶苦茶。新しもの好き(エッフェル塔)、飛ぶもの好き(気球)、雲の形がヘン。道が途中で途切れてる。

天然ヘタウマ全開!

んで、変な感じで持ってるパレットに名前が書かれているのだけど。
クレマンスatジョセフィーヌ。
クレマンスは前妻の名前。ジョセフィーヌは後妻の名。しかしその下に薄っすらと誰かの名前が残ってる。マリーって名前が半端に消されてから、ジョセフィーヌって上書きされてる! マリーって誰?

彼女はルソーが模写に通っていたルーブル美術館の事務員さんで、ルソーは何度もプロポーズしたけど振られた相手。マリーさんはルソーから逃げるために警察官と結婚したそうだけど、ルソーはすっかり一人で盛り上がってて先に絵のなかにマリーって書いちゃってたってオチ。
後妻にバレたらヤバイと慌てて消したのがバレバレになってる。

こういうとこも天然っぽい(笑)

ジェニエ爺さんの馬車

退職してからは少ない年金で暮らしながら画家として暮らしてたルソー。とはいえ絵は全然売れない。出品料さえだせば参加できる展示会でもお客さんが彼の絵を見て大笑いしていたらしい。

その時の様子が記事になっていて「涙を流して笑わぬ者はいなかった」と書かれていた。しかしルソーは「新聞に載った!」と喜んで切り抜いて取っておいたらしい。

ジェニエ爺さんは近所の食料品店の人。ルソーは食べ物をいつもツケで買っていたらしい。ジェニエ爺さんに「あんたも画家なら絵の一枚でも書いて借金を返せばどうなんだ」と言われたようで、これでこれまでのツケがチャラになる!と勘違いして写真を見ながら描いた絵だそう。
元が写真なのでわりとまともな遠近法になっているのはいいけど、ちょい足しが色々と。これはルソーのサービス精神なのだけど(^^;

先頭にいるちっこい犬、馬車に乗ってる悪魔みたいな犬?(謎の生き物)、小さすぎる子供、ちょいハゲ気味のジェニエ爺さんの頭はふさふさに。

人生で二回、窃盗などの犯罪で捕まって、刑務所に行ったり兵役に行ったり。従軍して外国でジャングルに行ったと話していたらしいけど、彼はフランスから一度も出たことがないそう。
意味のない嘘をついたり考えなしに他人にそそのかされて盗みをしたり。根っからの天然で他人には理解しがたい部分もある。

それでもピカソたちに「ルソーの絵は凄い!」と言われたりもしてる。ピカソみたいに本当に絵の上手い人からしてみたら、絵を崩して描くのは難しいことだったのかも。それを天然で描いてしまうルソーが羨ましかったのかな。

AI解説

アンリ・ルソー(Henri Rousseau)が1910年に製作した油彩画「」は、彼の最後の作品の一つであり、ジャングルをテーマにした作品の中でも特筆すべき存在です。
この絵は、原田マハさんの著作「楽園のカンヴァス」でも重要な役割を果たしており、表紙にも飾られています。

この作品は、ジャングルの中で眠る女性「ヤドヴィガ」と蛇使いの男性が登場するシーンを描いています。ジャングルの草木や動物は緻密に描かれ、ルソーの独特な視点が反映されています。この絵は、ルソーが実際にジャングルを訪れたことはなかったにもかかわらず、植物園で見た木々を元に独自のジャングルを描き出したものです。

「夢」は、ルソーの集大成であり、彼の最高傑作とされています。ジャングルの神秘的な雰囲気やヤドヴィガの存在が、この作品の魅力を引き立てています。

この絵は好き。人物のデッサンはどうかと思うけど、ルソーお得意のジャングルの描写、特に色合いが素晴らしい。この色彩感覚。色の合わせ方。

人物、街の風景、ジャングルを描いてきたルソーだけど、以前から葉っぱだけは拘って描いている。ジャングルは彼の好きな葉っぱを思う存分描ける画題だし、遠近法もさして考えなくていい。
幻想の花と幻想の木々、大きな葉。美しい色。ルソーの最高傑作と言われるのも分かる。

にしても、さすが天然。何年描いてもデッサンの上達はない。山田五郎さん曰く、ずっと描いていれば嫌でも上達するものだが、天然のルソーの特徴はいつまで経っても上達しないところ……だそう(笑)
それでもこの色彩感覚だけは元から持っていたと感じる。ハッとする冴えを感じさせる。私は好きだな。

そうそ、原田マハさんの小説「楽園のカンヴァス」は面白かったです。お勧めです(笑)