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2019.11

もう2~3年風邪をひいた記憶がないのに、連日微熱がつづいた。
おかしいな、と思いながらも季節の変わり目だしと思っていた中、
ふと生理がきていないことに気がついた。

いつかは欲しいとは思っていたけど、こんなに早く身ごもるとは思っていなかった。
年号が変わったその日に籍を入れて、親族だけの結婚式、そして自分たちでつくったDIYウェディングパーティーを行ったばかりだった。
あまり期待するのもよくないし、強く願いすぎてもなんだか神様にいじわるされるような気もして、しばらく二人で夫婦生活を楽しむのもいいね、とぼんやり話しているくらいだった。
嬉しいという気持ちよりも、びっくりの方が大きくて、私なんかが親になるのか!?とそわそわした気持ちだった。


妊娠がわかる前に、台湾へ旅行する計画をしていて、少しだけ悩んだけどつわりも軽いようだし、むしろこれを逃すと次いつ行けるのだろう?という予感がして、行くことにした。
7泊10日。ちょっとした仕事も兼ねていたのでずいぶん長い旅行だ。




台湾旅行はそれなりに楽しんだ。
でもやっぱりつわりのはじまりと重なって辛い部分もあったし旅行中に熱もでた。
まだ気温が少し蒸し暑かったので、窓を開けて寝ていたら、夜中に蚊が耳の近くを嫌な音を立てながら近寄ってきたり通り過ぎたり。その度にただでさえ具合が悪くて寝つけないのに起こされる。
さすがにいらついて、電気を付けたら真っ白な壁に無数の小さな点があってぞっとした。
あわてて窓を閉めて、寝ている旦那さんを横目に、壁にとまっているその点をジャンプしながらつぶしたのを覚えている。

妊娠期間中、好きだったのに食べられなくなるものがたくさんでると聞いていたので、少し身構えていただけれど、案外大丈夫で、唯一食べられなかったものが「八角」だった。
大好きなルーローハンの本場の味を楽しみにしていたのに、八角だけはだめだった。後にも先にも八角だけだった。…八角で助かった。

エスニック料理が好きな私は、産後カルディでパクチーチップスを見つけて購入し食べたが、ほんのり八角の味がして、あの辛かったつわりを思い出して食べられなかった。
五感と記憶は強く結びついてると再認識した出来事だった。

その後コロナがやってきて、海外旅行にも行けなくなり、子どもが生まれたのでさらにそのハードルは高くなった。
つらかったけど、あのとき台湾に行って本当に良かった、と今は思う。


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