<知ること、感じること:食べる編-解体から鞣し->
1/12.13.14の三連休にワークショップに参加した。
猟師さんが仕留めた鹿の皮をはぎ、解体して、そのお肉はおいしく食べる。そして皮は革にするための鞣しを行う。というワークショップだ。
場所は新潟県との県境にある長野の小谷(おたり)村。ここに大網(おあみ)という集落がある。
新宿から特急あずさと鈍行列車で5時間という場所だ。
今年は暖冬のためか、山にもまだ雪が完全にかぶっていない。それでもスキー客は多いようで、白馬でたくさんの人が下車していった。
2泊3日のワークショップで、参加者は自分を入れて4名。じっくり話をしながら体験できそうだ。まずはこの集落を教えてもらいながら散策。はじめてかんじきを履いた。
例年より雪が少ないとはいえ、かんじきを履いていても10cmは足が雪の中に埋もれる。一歩前に進むために、埋もれた足を引き上げなければならず、想像以上に体力が消耗する。
動物たちの足跡もたくさんあった。そこにいたという痕跡がなんだかうれしい。
川をはさんで向こうの山に動物たちが潜んでいることが多いらしい。
歩くこと約1時間半。ここはいわゆる猟場だ。
この日は5名で音をたてて進んでいることもあり、動物は異変を察知して逃げたのか、みかけることはできなかった。散策のつもりが、少人数ということもあって猟場まで来てしまった。中々大変な道のりではあったが、ここに来ることができて、猟師さんがいつも体験していることを体感できて、いい経験になった。
また1時間ほどかけて道を引き返す。もし獲物を捕っていたら、100kg近いどうぶつをひきずって歩いて帰るのだから、驚きだ。
慣れない雪道で体力的にはくたくただったが、カミ―ノで1日20~30㎞歩いて鍛えただけあって、精神的にはとても元気だった。
以前、にわとりやイノシシの解体をしたときは、生きていたものが死ぬ瞬間を見届けた。
今回は既に仕留めている鹿を解体する。死んでいようが、まだどうぶつだし、いきものだ。そして、美しい。単純に目の前にどうぶつがいる ということに喜びを感じていた。
内臓がないからか、捕ってから時間が経過しているからか、独特の獣臭みたいなものはほとんど感じられなかった。たまにふと獣臭を感じるときがあり、昨年幡野広志さんの猟に同行させてもらったときのイノシシのにおいとリンクして、あの時の思い出がリアルにフラッシュバックした瞬間があった。
においは記憶とリンクするというが、普段生活していて獣の匂いを感じるきっかけがないし、そもそも鹿はイノシシよりにおわなそうな顔をしている。(偏見)
4人で分けて、続きは自宅に持ち帰って鞣しの工程を行う。それぞれが持ち帰った革がどのような変化をして何になるのかがとても楽しみだ。
過程を経ていく中にこたえがあった。
そもそも、なぜ私はどうぶつを捕り、解体し、食べることに興味を持っているのか。最初は知らなかったことを知るのが単純に楽しいからだと思っていたが、経験してみたらさらに深く知りたいと思うようになった。普段から食べることについて、人より興味があるかと言われれば、興味がない訳ではないが、割とまずくなければ何でもいいと思うタイプだ。だからどこからくる興味なのかすごく不思議に思っていた。
どうぶつの肉体から皮をはぎ、頭を切り落とし、冷たい雪の上に並べたときにふと気が付いた。
今まで一切意識をしてこなかったけれど、私はどうぶつが好きなのだ。
そんな単純なことだったのか、と自分でも意表をつかれた。
頭と皮の無い胴体は、一体それがなんの動物だったのかもわからない。
さらに精肉するために足を胴体から切り離していくと、いよいよお肉にしか見えなくなる。
一方、頭と皮だけになったそれは、自分の中ではまだどうぶつという認識だ。
後から主催の猟師さんにこんな風に並べた人は初めてだと言われた。
もう一度元のどうぶつの姿に戻したいという気持ちがあって無意識にやったのだと思う。
どうぶつのいのちを考えるということは、どうしても非日常だし、重たいテーマと考えられてしまう傾向にある。
だけど、自分の興味の原点はどうぶつが好きという単純なことだということがわかり、少し気持ちが楽になった。そんな機会があっても勿論良いとは思うが、皆にどうぶつのいのちについて、深く考えてほしいと思っているわけではない。
好きなものは共有したいから、このように発信しているにすぎない。
みんなで精肉し、みんなで調理し、みんなでいただきますと食卓を囲む。どれも本当においしくて、あたたかいところでこうやってごちそうを食べることの幸せを感じる。
猟師さんはごちそうさまをするときに、いつもより長く手を合わせていた。
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