罪と罰日記 6月4日 ロシア人は名前と戯れる
フュードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキーの「罪と罰」を少しずつ読む度に、少しずつ感想を書いていく日記(2008年に書いたものです)。
主人公ラスコーリニコフは、老婆アリョーナ・イワノヴナと可哀想すぎるリザヴェータを殺害。
第二部に突入した「罪と罰」だが、ここへきて、さらにくどくなる。
なんつうか、ロシア人はこんなに話が長いのか、記憶力がいいのか、と首を傾げる。
アルバイトのあっせんをすることになっていたラズーミヒンが保証人になって、ラスコーリニコフの母の仕送りを受け取ったりするんだが、いやあ、ラズーミヒンもやはり変人だ(とにかく「罪と罰」の登場人物は、誰も彼もが何かしら変です)。
押し付けがましく、余計なお世話を焼きたがるが、どうもその動機が見えづらい。
それと異常な記憶力。
イワノヴナ殺害事件の容疑者があがった経緯を、周辺住民の一挙手一投足、全会話を記憶しているかのように長々と解説するが、こりゃ記憶力良過ぎるだろ。
それと、まあこれから何度も感じるんだろけど、ロシア人は名前と戯れてますね、たぶん、間違いなく。
「ぼくは署長のニコジム・フォミッチとも会ったし、副署長のイリヤ・ペトロヴィッチにも紹介された。庭番のザミョートフ君、アレクサンドル・グリゴリエヴィッチとも近づきになったよ。それから最後を飾ったのが、ここのパーシェンカさ。この女も知っているがね…」
「こってり砂糖を利かせたらからね」ずるそうに笑いながらナスターシャがつぶやいた。
「ひとつ、あんたのお茶にも入れたら、ナスターシャ・ニキーフォロヴナ」。
イスカンダル星人みたいな名前が、次々と、どう考えても必然性なく現れ、必然性なくフルネームで呼ばれ、きまぐれに略称で呼ばれる(ラスコーリニコフがロージャと呼ばれたり)。
もう頭の中がお祭り騒ぎさ。
それから、どうもドストエフスキー先生、少なくともこの辺では、てんで芸がない。
ラスコーリニコフの寝ている部屋の扉から、ナスターシャやラズーミヒンやゾシーモフが入って来て、とりとめもなく喋る。
高校生が書いた戯曲のような展開に、結構びびる。
そして、真打ち、ルービンが同じ扉から登場する。
ラスコーリニコフの妹、ドーニャの婚約者だ。
「2週間前に手紙を送ったのだが、届いてないかね」という、三谷幸喜もびっくりの展開に僕もびっくり。
さて、皆さん、ここまでで何人の名前が出たでしょうか。
本日、飛行機の中で読んだりして、やっと133ページ。
ルービンとラスコーリニコフは、何を話し合うのでしょうか。
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