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【幻】東京・新中野「北京」の全ての料理
町中華の記録をnoteで公開し始めて今回で100回目。
やはりここはもう一度、東京・新中野の「北京」を振り返っておきたくて。
このお店には、個人的には「町中華に望む全て」があったわけです。
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その控えめなたたずまい。
人通りの少ない道路に面した立地。
価格の安さ。
メニューの豊富さ。
独自のメニュー。
前を通りかかったら吸い込まれてきちんとうまい中華を食べられた。
こんな幸福を味合わせてくれました。
東京・白金高輪「利華」(残念ながらこちらも閉店)と並んで、通った中華です。
例えば搾菜肉ソバ600円を初めて注文した時のことです。
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「もやしソバでは?」と思わせるその外観。
一見、搾菜も肉も見えないのですが、もやしの下に隠れていまして。
ほとんど塩抜きしていないのではと思わせるほどしょっぱい搾菜が少々。
しかし、手作りなのか青くさい搾菜の香りが強くて。
そしてスープ。
薄いのにしっかりしょっぱくてコクもある。
麺にも絡み、飲み干せる。
いや、飲み干すまで帰れなくなる。
こんなスープはそう滅多に会えるもんじゃありません。
家常豆腐950円は豆腐をその場で揚げてました。
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鳥もつ(腎臓だそうです)に海老、椎茸、さやいんげんと揚げ豆腐の甘じょっぱい旨煮は、とても1000円を切るメニューとは思えず。
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薄い皮に包まれた甘い餡をレンゲからちゅるっと吸うように食べるワンタン麺600円の味も、ここで覚え、クセになりました。
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閉店のお知らせを見て泣きそうになったのも初めてです。
俳優のようなお父さんといつも叱られていたお母さん、お元気でしょうか。
もう行けないのが本当に残念です。
この別れの淋しさを、これから何度耐えなければならないのでしょうか。
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