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日本が観光立国になるためには

こんにちは。
旅行好きのきさらきです。

今回は最近読んで面白かった本

【デービッド・アトキンソン 新・観光立国論 
 イギリス人アナリストが提言する21世紀の
「所得倍増計画」】
著者:デービッド・アトキンソン

について書きたいと思います。

デービッド・アトキンソンさんという
イギリス生まれ、
オックスフォード大学「日本学」専攻、
小西美術工藝社代表取締役社長、
元ゴールドマン・サックスアナリストだった方が観光についてのデータを読み解きながら、日本の観光業の可能性について考察した本です。

データを示しながら、
論理的にかつ鋭く突っ込んだ内容で
とても面白いと感じました。

ここからは私がこの本を読んで、気になった部分を書いていきたいと思います。


・GDP増加のための救世主

「最終消費支出+投資+在庫増加+輸出-輸入」
という算出方法によってGDPを導くことができます。

GDPは構造を理解すると人口と強い相関があることが見えてきます。

少子高齢化が進む日本は人口は減っていくと予想されています。
この問題を解決し、デメリットなく、難しくない方法、、、

それは


短期移民を呼び込む
つまり観光客を呼び込むということです。

日本は技術力はあると言われているけど、
マンパワーは低下していくだろうし、
GDPも下がっていくんだろうなぁ~とぼんやり考えていた私にとって、興味深い内容でした。



・観光立国になるための4条件


観光立国とはその国が持つ特色ある自然環境、都市景観、美術館、博物館などを整備することで、観光客を呼び込み、国の経済の支える基盤の一つとして確立することだとされています。

デービッド・アトキンソンさんが考える観光立国になりやすい4条件とはなんでしょうか?
見ていきましょう!

気候
旅行に行くときはやっぱり過ごしやすい気候がいいですし、季節によって楽しめるものがあるといいですよね~

②自然
私は旅行は非日常を楽しむものだと思います。

毎朝ビル群の中に吸い込まれて、
パソコンとにらめっこという日常だと、
たくさんの自然を感じることができる非日常を求めてしまいます。

③文化
自分の国にはない文化を感じたいという方も多いのではないでしょうか。
こんな歴史があって、この文化が生まれた
と知ることができたら、
もっとその国について知りたいと感じます。

④食事
なんといっても外せないのは食事!
1日3食は食べますもんね!
いろんな国に進出して、自国で外国の食べ物を食べることはできるけれども、その国でしか感じることのできない雰囲気とともに食べる料理は格別です!

この4条件をみて、かなり共感できました。

それと同時にこの4条件、日本満たせているやん!
もしかして日本って最強!?
と思っているとまさかの現実が、、、



・まさかの観光後進国日本!?


本書のデータは2013年時点のもの(世界銀行の2013年データ)なので、2019年版のデータを使ってもう少し考えてみたいと思います。

「参考:令和3年版観光白書について(概要版)」


日本の外国人受け入れ数は
2013年時点で1036万人(世界ランキング26位)
2019年時点で3188万人(世界ランキング12位)

日本の観光収入は
2013年時点で168.65億ドル(世界ランキング21位)
2019年時点で461億ドル(世界ランキング7位)

外国人受け入れ数は約3倍、観光収入は約2.7倍と大きく伸ばし、
外国人受け入れ数、観光収入ともに世界ランキングで大きく順位を上げ、
本書に書かれている当時の政府目標である
「2020年までに訪日外国人観光客2000万人」もクリアしています。

なので、観光業は順調であるように見えます。

しかし、デービッド・アトキンソンさんは
世界のGDPに占める観光業の割合は9%なので、
日本は本来目標とすべき観光客数は
2020年までに5600万人が妥当ではないかと書いています。

その上、今後世界の観光客数は増えると予想されていて、

イギリス政府が依頼してOxford Economicsがまとめた報告書の中で、
現状維持シナリオから予想すると2015年時点から1.47倍になる計算なので、
2030年までに8200万人が妥当な線だと考えられているようです。


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今は自由に旅行できず、今後もどうなるかわかりませんが、

観光業に力を入れなければいけないことには変わりなく、

自由に旅行に行けるようになる時のために

日本の良いところをもっとアピールしなければなりません。

日本はどのようなアピールをしているのでしょうか。




・アピールになっていないアピールポイント


日本のどのようなところを世界にアピールしたいかということをインターネット調査で全国の3121人を対象に訊いてみると、

➀日本のマナーや気配りのすばらしさ
②日本の食文化、おいしい食べ物
③治安の良さ
④洗練された日本のサービス

観光立国になるための4条件のうち、
食事だけしかランクインしていなかったのです、、、。

本書と共感してしまったところが、
治安がいいから、マナーが良いから、
サービスが良いから、
その国に行こうとはならないというところです。


たしかに、いいに越したことではないけど、
旅の目的にはならないのです。

やっぱり旅の目的って、

絶景が見たい

この観光名所に行ってみたい

おいしものが食べたい

ここでしかできないことを体験したい


上記のようなことではないでしょうか。

まずは旅の目的になる部分を盛り上げる方が先に始めなければならないことなのではないでしょうか?



・本当のおもてなし


日本のおもてなしは日本のやり方やサービスを押し付けて、臨機応変が効かないというイメージがあると本書に書かれていました。

私も旅行の時ではないですが、お客さんに対して
それはできませんの一点張りで対応しているサービス業の方を見たことがあります。

そこまでわがままな要望ではなく、今までやったことがなく、マニュアルにないから対応できないみたいな断り方だったのですごく引っかかった記憶があります。

できませんじゃなくて、できるように臨機応変に対応することがサービス業としてあるべき姿なのではないかな~と疑問に思いました。


自己満足のサービスではなく、他人を思いやるサービスの方が心温まる、印象的なサービスにつながるのではないかと考えます。



・ゴールデンウィークは廃止すべき


これはかなり共感しました。

日本は社会人になるとまとまった休みがとりにくいな~と実感しました。

だから、大型連休であるゴールデンウィークぐらいでしか、旅行ができないのです。

一気に観光客が押し寄せて、観光客をさばいて、いつもより様々な値段を高くして、稼ごうという考え方なのです。

私はあまりゴールデンウィークに旅行に行きたいとは思いません。

季節としてはいいですが、人混みがすごいし、値段が高いからです。

その観光地はゴールデンウィークだけが見ごろではないと思います。

できれば、まとまった休みを分散してとれるようにして、

観光で1年中稼ぎ続けることができる方が、
観光収入が多くなるはずです。


見ごろである時期があると言われている観光名所はたくさんありますが、

見ごろじゃないと言われている時期もまた違った楽しみ方ができるようにすることができれば、もっと観光業が盛り上がるのではないかと考えます。

今回は冬の本当に美しい景色が見れて、楽しかったから、今度は夏にも行ってみたいと思わせることができれば、観光業として成功と言えるのではないでしょうか?

私はオーストリアのハルシュタットへ行ったときにそのように思いました。



・収入に着目し、稼ぐ観光を!


観光客数を増やすことも大事ですが、観光収入を大きくすることも大切です。

そのためにはお金を落としてくれる人を呼ぶ。
つまり富裕層をターゲットにしていくのです。

この発想は私にはなく、新たな発見でした。

富裕層が来たくなるようなゴージャスなホテルを作って、文化が体験できて、お金を払うことによって、優先的に体験できるファストパスのような制度を作ることが大事なようです。

しかし、開発しすぎると環境だったり、その土地の魅力が落ちてしまうようなことにつながりかねません。

そのあたりは慎重に考えていかなければならないと思います。


長々と少し堅苦しい文章になってしまいました。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

それでは!





















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