むさぼり

たとえばその人が自分のよい暮らしのためにだれかへ
この部分をやめて欲しいと言ったとする

すると相手は申し訳なかったと思うけれど
次には恨みが残る

どうしてお互い様なのに、かの人は
わたしのためにこの部分をやめて欲しい
そうすればわたしはよりよく暮らせる、といったのか

そのようなことを相手は考え
どうも納得がいかない

そこに対等はなかった、お互い様はなかったと判断する

信頼関係は壊れ、より関係性はひどくなる

しかしはじめから信頼関係はなかったのだから
より反発し合う関係性だけが残る

言った人は
その部分をやめてもらえたなら
よりよく付き合えるはずだ、と思って
信頼関係を持ち掛けたように思えるが
結局自分がよい生活をするために否定したのである

よい生活をしたいと思うことで
自分のために自分のいのちを守り
自分のいのちを失ってしまった

十戒が
明らかな悪意である場合以外は、さばいてはならないように
善意であるか悪意であるかわからない隠れたものは
かの日、さばく方によりさばかれるものである

自分のために人をさばいたり、自分が気にいらないとしても、自分のために人のものや、人の性質をもむさぼってはならないのだ

むさぼり合いはひどく醜いものであり
戒めは美しいからである

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