キルハトッテのお悩み相談会 ゲスト:井上瑠菜さん(露と枕主宰/王子小劇場劇場プロデューサー)
佐藤佐吉演劇祭2024参加作品キルハトッテvol.4『そろそろダンス。』の公演を控え、主宰の山本は悩んでいた。
初めての劇場公演。作品のこと、これからのこと、どうしよう…。
そこで、王子小劇場劇場事務所にて露と枕主宰/王子小劇場劇場プロデューサーの井上瑠菜さんにお悩み相談をすることにした!
ゲストプロフィール
井上瑠菜
1996年10月2日生まれ、茨城県出身。2015年に早稲田大学演劇研究会に入会後、同サークル内の団体として2018年に「露と枕」を旗揚げ。過去の活動として、佐藤佐吉賞Reborn『ガムガムファイター』演出、猿博打特別公演第三弾『まじめにきまじめ』脚本等。おうさか学生演劇祭Vol.12優秀演出賞受賞。
物語の中で超えるのは1番最初の1歩だけでよくて
山本:本日はどうぞよろしくお願いいたします。まずは簡単な自己紹介からお願いします。
井上:はい。どうぞよろしくお願いします。井上瑠菜です。「露と枕」という団体を主宰して、脚本と演出をやっています。 王子小劇場では劇場プロデューサーというえらい人です(笑)。
山本:今日は瑠菜さんに、いろいろ相談させて頂ければと思って…。
井上:はいはい
山本:まず、いま劇作していていちばん悩んでいることを相談させてください。目下の悩み、それはラストシーンが決まらない。
井上:ラストシーンが決まらない…。
山本:何個か選択肢があって、これもいいな、あれもいいな、違う選択肢があるのかも、と考えすぎてしまって。
井上:うんうん…まだ腑に落ちていない?
山本:意味の集約で終わるか、発散で終わるかというところを結構ぐるぐるしていて。個人的に私、瑠菜さんは構造やこの台詞を書く/書かないとか、超シビアに脚本を書いている人なのかなって思っているから…。だからこそ訊きたいんです。
井上:私も役者さんに、「ここじゃないよ、このシーンじゃないよ」みたいなのを教えてもらいながら書き直してるんだよね。
私の場合、ラストシーンは最初の段階からそれほど変わらないことが多い。どちらかというと真ん中の取捨選択をすごい迷うタイプなので。
山本:俳優さんと話し合いながら作ってるんですね。
井上:読み合わせをして、ある程度ざっくばらんに意見を言ってもらって、がっつりいろんな人の力を借りながらなんで…。
執筆初期の段階から結構劇団員にも相談します。
行き詰まったら、企画書の段階から何がいい悪いとか、何が書きたいのかとか、イチから劇団員と相談して考え直したりしてる。私が「もうむり!!」ってグズって普通に怒られる時もあります。
山本:なんか、怒ってくれる人がいるって大事なことですよね…。
井上:そうだね。だから、今回初めて外部で書いているけど、やはり信頼して任せていただいているものだから、より責任をもって書かなければという気持ちが強くて…。
山本:瑠菜さんが脚本提供された「猿博打」の佐藤佐吉演劇祭2024参加作品『まじめにきまじめ』(公演詳細:https://sarubakuchi.jimdofree.com/next/)のお話ですよね。 キルハトッテと全く同時期の公演なんですが、どうですか。どんな作品ですか。
井上:地球が滅亡しまして、バラバラになって、地球の中のほんの一部の東京都北区が星になったっていう…。
3人だけ生き残って、その3人が優秀すぎて、発電所とか食料とか諸々全部作りきっちゃって、5年でやばいくらいほんとに暇になっちゃって、俺たちこれから何をしようっていうのを色々模索していくという話です。
山本:あらすじで既に面白そう。「露と枕」のテイストとはやっぱり違いますか。
井上:書いてて、やっぱりなんか私って「露と枕」の井上瑠菜なんだなって、ちょっと思った。
山本:瑠菜さんの思う「露と枕」の作品らしさはなんですか?
井上:私はコンセプトとしては、「露と枕」はずっと優しい悲劇というものを作っているので、言葉を崩して言うのであれば、「メリーバッドエンド」ってやつかな…。
ハッピーエンドっぽく書かれているけれども、見方によってはバッドエンドだよ、みたいなこと。
ある程度王道の悲劇のセオリーを守りつつ、ハッピーエンドなんだか、バットエンドなんだか、ちょっと一言では表すのは難しいけど…。
なんか問題は解決されたのかなっていうのだけが分かるという作品を作っているかもしれない。
山本:演劇で問題を解決するって難しいですよね…。
露と枕の前回公演の「わたつうみ」(公演詳細:https://www.tsuyu-makura.com/pages/1153356/discography)も、登場人物たちを物語の中で完全に救うことが難しいお話だったと思います。
自分の作品でも、それが難しくて、なんかこう、悲しい状況の利用に物語がなってしまうことを危惧しています。「わたつうみ」はそう感じなかったのですが。何か意識していたことはありますか?
井上 :私は、前提からすごく高いハードルの悲しい状況を作っちゃう癖があって。 で、120分じゃ解決しないよ、みたいな。
一筋縄ではいかない、それこそ一生かけてその人が向き合っていかなきゃいけないみたいなものを設定しちゃうことがあって…。
やっぱりその大きいハードルみたいなのを超えられないから、 物語の中で超えるのは1番最初の1歩だけでよくて、 そこを踏み越えられたね、っていうのをみんなで納得して。で、その後はご想像にお任せしますみたいにやっちゃいがちかもしれないです。
山本:でも、最初の1歩っていうのは、すごくわかる…わかります。
井上:その最初の1歩すら踏み出せなかったみたいな話も、2、3年前とかすごい好きで書いてたんだけど、やっぱり物語として成立しないというか。
わけわかんないまま、お客さんにも「はて?」と思われたまま終わっちゃったりとかして、それは目指すべきところではないなと思った結果、ちょっとそこにアプローチしてみようという気持ち。
野暮さの線引き
山本:瑠菜さんは、お客さんに分かってもらうってどれくらい意識してますか。
井上:ちゃんと意識しないと本当にわかんないもの書いちゃう。
なんかね、言葉足らずなんだと思うんですよね。
すごくいろんなことをすっ飛ばす。会話についてもそうだし、情報についてもそうだし、これ言ったらヤダなって。
自分がすごくいろんなことを、いらないところまで深く掘って考えちゃうからこそ、ここまで言っちゃうのは野暮だなって自分の中でラインを引いちゃう。
で、なんかそれを引いてしまうと、やはり役者さんに読んでもらった時とかも、これって何?みたいな感じになっていくので、どれだけ自分の中で野暮だと思うところを許容するかみたいな…ある種の戦いです。戦いですよね。一線をちゃんと引いていかないとね。
山本:その目線ってどれくらいから身につきました。
井上:でもね、私もできてないんだよね。あんまり。
山本:野暮さの線引きってむずいですよね…
井上:うん、難しいと思うんだよなあ。
山本:内田さんはどうしてるんだろう?
(劇場事務所にいた劇団スポーツ主宰の内田倭史さんに声をかける)
井上:うっちーさ、分かり良い、分かりにくいみたいなラインってあるじゃない。セリフを書いてて、これ直接言っちゃったらやだなって言ってバッと削っちゃったり、飛ばしちゃったりとかして、なんか結局わかりづらくなるみたいなところを非常によく経験してるんですけど、私たち…
山本:どういう視点でそのセリフの取捨選択をしてるのかなっていうのが気になります。
井上:うっちーはなんていうんだろう、野暮じゃないし、わかりやすいからどうしてるんだろうと思って。
内田:えー、う、うけるかどうか。野暮すぎるシーンってあるやん。でも、どうしてもここもうほんとにドラマ的にはなくてはいけなくて、1番大事っていうシーンで、大切なこと言いたいけど 野暮だな、みたいな時は、前後にこう、ネタを挟む。
そしたら、なんか笑えて、笑ってるうちに、なんか大切なセリフ言ってたけど、なんか、うん、聞き流してもらう。そうそうそう、何も思わなかった。なかったみたいなことになる。
井上:でも、そうかも。私もしみじみコメディを書いたのがほんとに久しぶりだったので、コメディを書いてると、やっぱちょっと恥ずかしいこと書いちゃったなって、次の瞬間にごまかしたくなるのもあるし、逆にそっちのボケの方がいいセリフになって、ごまかし方がおしゃれになる瞬間がある。
山本:うちの団体、めっちゃむずくて、笑ってる人、泣いてる人、怖いと思ってる人が客席で3分割するような団体で…。笑いを狙いに行くと、多分泣いてるお客さんとか、怖いと思ってるお客さんを取りこぼすことになる…。
井上:「わたつうみ」は、ちょっと序盤の方はふわっとさせようみたいな、大人たちにふざけてもらおうみたいなことをやっていた。
すべてにおいてやっぱり筋肉を緊張させる芝居を書いてる自覚はあるので。
でもなんて言うんだろう…笑いが起きなくても一瞬の気を緩めさせるみたいなことは効果的だと信じてる。
山本:なるほど。
井上:なんとなく雰囲気的に丸くなったな、みたいなの。そうなんとなく感じると思うから。
山本:大事だ、めっちゃ…。
なんか美術館にいるみたいだった
山本:ところで、瑠菜さんってキルハトッテはどのあたりから見てくれてます。
井上:見本市が見れなくて。王子スタジオ1で上演してた『どこどこのどく』は見ました。
山本:どんな印象でしたか。
井上:強烈に覚えてるのが、美術館にいるみたいだった。
山本:おお、気になります。
井上:私、美術館すごい好きなんだけど、見る対象、何をずっと見てればいいのかみたいなのって、自分に委ねられていて。
すごく美術館にいる時の井上がいちばん右脳、感覚がハイになる瞬間みたいなものを感じた。
何を見ていても、どこに集中していてもいい、何を感じてもいいし、みたいなところがなんだかすごい。
美術館にいる時の感覚にスッとなっていたというのが1番強い印象で、言葉自体も受け手の好き好きで、このセリフは受け取らなくていいとか。
なんか物語とか見てると、やっぱりこの情報は後々必要だろうなって色々期待しながら見るんだけど、 キルハトッテに関しては、このセリフはあんまり自分は今必要ないとか、この言葉はじんわりくるな、みたいなこととかを、好きに聞けたし、好きに見れたし、ある種の安心感というか…。
私も全然わかってないのにこんなこと言うのもあれなんですけど、勝手に良い芸術を見たという感覚でした。
山本:嬉しいです。
井上:すごい心を開いて見れたなという印象。
あの作品がそうだったということで、まだまだキルハのことを知れていないので。なんか、私もね、毎回書くもの全然違ったりとかするから。今回のキルハトッテはまたポップそうだし。
山本:ポップです。
井上:うん、ポップな感じだから。でも、やっぱり構成とかが絶対私にはできない感じの構成を立てていると思う。
山本:私、お前の脚本は読んでも本当にロジックがわからないって言われたことがあって。でも、私の中にはロジックはめっちゃあって、いろんな物語の構造を借りてるし構成をうんうん考えているのにロジックがわかんないって…。
井上:なんて言うんだろう、ロジックとか考えずに見ることができたなっていう。最初の時点で、その見方、スタンスを捨てちゃったのよ。
山本:それって、難しい芝居じゃないですか?
井上:なんかもっと、丸裸の、その心のままの自分で客席にいていいみたいな空間だったなって、すごい思った。じんわり広がっていく感じ。スタジオのね、雰囲気とも親和性がよかった。
山本:ありがとうございます。内田さんには、見本市2022で『バター』を観ていただいたんですけど、どう思いましたか。
内田:おもろかった。リアリズムを「はい!バーン」って超えてくる瞬間があって
山本:リアリズムを超える…
内田:ちょっとこう、<マジックリアリズム>っていうやつ。歪んだり、そのシーンが溶ける。ウンゲツィーファ(劇団H P:https://ungeziefer.site)が俺大好きなんだけど。
井上:はいはい。
内田:ウンゲツィーファは物語の後半でそういうことが起きるのよ。場所と場所が溶け合ったり。時制が変わったり溶けたりみたいな。それがめっちゃ鮮やかだなと思った。
山本:確かにそこはずっと握っておきたいとこかも。
井上:それを期待して見に来てください。確かに切って貼ってっていうところが1つ強みというか、やっぱロジックでみるっていう見方を最初に捨てたのはそういう構成だったからでもありつつ、 その1つ1つ繋げようとしなくていい、起こっていることをそのまま受け止め続けることができる。
劇団の未来を相談します
山本:今後、キルハトッテってどうすればいいと思いますか。劇団の未来の相談をします。
井上:私もどうしようって思ってるけど。
山本:止まろうって思ったタイミングってありますか?団体としてそういう時は必ずあるなって思ってて…。
井上:うーん。ちょうど去年4月。結構ずっと焦ってやってたから、スパンとしても。年2回で公演はやるみたいな。もう決める。決めとく。先にこの劇場でやる。うん、やります。みたいな感じで決めてやっていたのが去年の4月まで。
正直、私はもうもうダメですって感じだったから、みんなで、じゃ、ちょっと1回立ち止まって考えようってなって。
で、そのとき半年ぐらいあけて、じゃあ次考えよう。まず、じゃあ、その1番大切にしたいことは何か。というところから。話し始めて。要は売れるとかじゃない、続けることって、そのターンにみんな入っていた時期だった。
山本 はい…
井上:頭の中では売れたいと思っていて、何かチャンスを掴みたいとすごく思っているんだけれども、 そのために必要なのって、やっぱり創作をなんとか続けていくこと、発表の場を持ち続けていることっていうのが、大切なことだと。
運もあるからさ、この公演のこの回に、この人が見に来たからみたいなことってあるから、もうそれは長い戦いだと。
長期戦だと思って、とにかく腐らずに続けられるためにはどうすべきかを話し合い。お金の面でもそうだし、創作の面でもそうだし、運営体制みたいなことでもそうだし。
じゃあ、この団体で井上瑠菜が書き続け、2人が役者をやって、制作が他現場と並行しながら劇団活動をするためにはどうするか、みたいな話から始め、企画書も会議して、本もみんなで決めて、みたいなのをちょうど試している時期なの
山本:なるほど。劇団会議にプロットが上がるって聞いた時、すごいなと思って…
井上:うん、確かにすごい。なんか逆に今までがすごいエネルギーで、1年に公演を2本打つって
山本:ほんとに大変なことですよね
井上:ですよ。大変だよね。
山本:公演をハイペースでずっと続けてこられたエネルギーってなんなんですか。
井上:なんだろう。もうほんといちばんはやるって言っちゃったし、みたいな。引き下がれない。
あとはきちんとネタのストックはあったから。次はこれやるとか、こういうやつを次はやりたい、みたいなこととかがあったから。でも、「わたつうみ」が終わった後に、手元のがものがなくなっちゃったってなって。で、ちょっと1回お休み。
山本:わたしは演劇に心のエネルギーを使い続けていると、物語を書くエネルギーがなくなっていく現象に悩まされています。
井上:稽古しててとかじゃなくて?
山本:稽古は好きなんですけど。演劇に生活を吸い取られてると。生活の中で起きる心の移ろいに気づけなくなってたりとかします。
井上:ああ、うん、わかるわかるわかる。どんどんとね、視野が狭くなっていくよ。確かにそうかも。
だから、いかに吸い取られずにやっていくかみたいなのって、どうすればいいんだろう。私はほんとに吸い取られ続けて、公演終わった後2週間ぐらい動けないタイプだから、全然できてないんだけど。
でもね、思った。その終わった後なんだから、思いっきり羽を伸ばして休むのさ、と思って休み入れてると、ほんと、どんどん腐っていくから。
次の次の日とかでもいいから、仕事を入れるっていうのやる。
山本:なるほど。
井上:最近は、本書き終わった後は、もう、外に出る。基本的に外に出ることができない人種だから。外に出る。大事だよね。
この人のこれまでの人生の中で、1番輝ける瞬間を作った奴になりたい
山本:瑠菜さんがいちばん演劇の面白いって思ってるとこってどこですか。
井上:やっぱ基本的にものすごくオタク根性>でやってるので、この俳優さんの<推しポイント>みたいなのを絶対脚本に起こしてやると。
この人のこれまでの人生の中で、1番輝ける瞬間を作った奴になりたい。みたいな勝手な欲望があるんですよ。
そう、野心というか、おこがましさ。ものすごいオタクなので。
私はジャンルのこだわりは実はないんだなっていうのはずっと思ってて。
漫画とかでも良かったりするし、ドラマに行きたいみたいな気持ちもなくはない。いろんなコンテンツで好きなものがあって、でも、演劇になった時に、いちばんだと思うのは、自然の中にいる感動みたいなものを感じた瞬間。やはり漫画とか小説とか、他の媒体とかって、自分の世界の中ではすごく広がるんだけれども、やっぱ空間として超えてこないから、うん…。
山本:わかります。
井上:ディズニーランドはすごいなとは思うけど、やはりその空間まるごとみたいな感じ方ができるときに、演劇っていいなって思う時はあるかもしれない。
山本:私は『わたつうみ』のあのシーンでそれを感じましたよ。あ、観てない方はごめんなさい…。今回のキルハトッテの公演に出演してくれている大塚遊馬くんと、榊原あみさんの2人の海のシーン。
2人の張り詰めた感じが、「ピーン」って伝わって、息止まりそうになりながら観てました。これって演劇じゃないと無理だ、みたいな風に思いました。
井上:本来の海でやってたら彼らの方にすごく没入していくと思うんだけど、それは映像作品や物語にたくさんあると思う。劇場の舞台でこっち側にまで何かしてこようとできるのはね、やはり演劇なんだろうな。
山本:あのシーン見て、「あ、これ私って今この舞台に指をこうやって1本踏み入れたら、これを壊せるんだ」みたいな。「この人の背中を押したら線路に落ちる」みたいな感覚…。それは絶対やっちゃいけないタブーで、そのタブーを犯せないっていう…。
井上:あれいいよね。やっぱその危うさみたいなこととか…
山本:観客と俳優が共犯関係になれたっていうか、こちら側にも加害性があるんだってことをすっごい自覚できた瞬間だった。
井上: あとは、みんなに勝手に妄想してもらうのが1番の楽しみではあるので、 演劇の楽しみというより、自分で物を作るときに1番楽しみにしているのは、私は他人に二次創作されるということを目指してやっている。
山本:わかります、わかります。
井上:とにかくみんな好きに妄想して欲しい。この人の未来でもいいし、過去でもいいし。舞台上ではそんなに絡みのなかった2人のカップリングとか好きに想像して欲しいって思っているので、 そういう世界を作りたい。
ライブは身を清める場所
山本:今回の公演はアイドルの話なんですが。あややこと松浦亜弥さんがモチーフで…。
井上:あややの話なんだ。そうなんだでも、あややといえばやっぱり最強のアイドルだよね。
山本:ですよね。瑠菜さんも私もハロー!プロジェクトのオタクだと思うんですけど、ずばり、瑠菜さんにとってのアイドルとは?
井上:アイドル…。生きる活力を直接的に与えてくれる人たちというか…。
こういう言い方するとあれですけど、みんな会いに来てくれてありがとうとか、 一緒に頑張ろうねとか、明日からお仕事かもしれないけど、これでちょっと私たちのパワーをもらってくれれば、みたいなこととかを言うのがお仕事じゃないですか。やっぱりそういうことを言ってくれる人がいるって、嬉しいなと思うし、 彼女たちが彼女たちなりに目指すところとか、夢とか、その努力とかっていうものをちゃんと追わせてくれるというのはすごく、 エネルギーをもらえるよね。
私も頑張ろうって思う。私も頑張ろうって思えるのってすごいことで、全てのコンテンツって実はそうあるべきなんだろうなって。
山本:すごくわかります。
井上:いろんな媒体がいろんなもので隠したりチラ見せしながらやっているものを、結構オープンにバーッとやってくれるコンテンツ。
人を元気にさせるとか、人を励ますとかっていうことをストレートに素直にやるお仕事だと思っているので、見ていると、ひねくれてもの書こうとしてる場合じゃないなとか、こういうエネルギーを持ってコンテンツというのは作るべきだなというのを、毎回ライブとかに行くたびに心を改める。
そういう意味では生きることもそうだし、創作自体のエネルギーというか、原点をすごく思い出させてくれる場所だと思って。
ライブに毎回「身を清めに行こう」っていう。
山本:身を清める場所。
井上:うん。
山本:私はいつも、アイドルの何があっても「やりきるチカラ」に感動します。
井上:突き抜けてるし、半端ないよね。
山本:それがすごい人生だって思う。見てると。
井上:うんうん、わかるわかる。
山本:だから、今回はアイドルという存在を通して人生について描くんです。
井上:ハロプロ好きからしたらたまらない作品になるでしょう。
山本:と、瑠菜さんが言ってくれておりますので。
井上:よろしくお願いします(笑)。
自分の世界の可能性を広げるみたいな劇的体験ができる
山本:最後になにか一言。観劇に来てもらえるような一言を頂きたいです…。
井上:作品って何か1つテーマがあり、ひとつの軸があって物語を見ていくみたいなものがすごく多いと思うんだけど、私も書いてて思うのは、そういう創り方って、いろんなシーンのいろんな可能性を捨てているんですよね。
やっぱりある程度純粋な物語として、「ポケーッ」と見てても入ってくるみたいな状態を作らなきゃなという使命感というか、邪(よこしま)な気持ちがあるから、ここのシーン見せたかったんだけど…みたいなものをすごくたくさん捨ててる瞬間もあって。
山本:はい。
井上:でもなんか、キルハトッテってそうじゃなくって…。1つのテーマで多分きっとひとつのものに集約していくんだろうけれども、私が捨ててきたようないろんな可能性をたくさん見せてくれるんだろうなって勝手に思っているので。
山本:すごい、嬉しい。
井上:だから、何か可能性を広げる、自分の世界の可能性を広げるみたいな劇的体験ができるんじゃないかなって思っています。皆さんも是非世界を広げに来てください。
山本:では、本日のゲストは「露と枕」主宰/王子小劇場劇場プロデューサーの井上瑠菜さんでした。ありがとうございました!
井上、山本:王子小劇場でお待ちしておりまーす!
公演詳細
佐藤佐吉演劇祭2024参加作品
キルハトッテvol.4
『そろそろダンス。』
作・演出 山本真生(キルハトッテ)
■ 日程 3.14(木)-3.17(日)
■ 会場 王子小劇場
■ご予約
CoRichチケット!(当日精算)
peatix(事前精算)
■ 出演
井澤佳奈
大塚遊馬
奥山樹生
川合凜
中嶋千歩
吉沢菜央(キルハトッテ)
■ 会場
王子小劇場
〒114-0002
東京都北区王子1-14-4 地下1F
JR京浜東北線「王子駅」北口より徒歩5分
東京メトロ南北線「王子駅」4番出口より徒歩3分
■ タイムテーブル
3.14(木)19:30
3.15(金)14:00/19:30
3.16(土)13:00★/18:00
3.17(日)13:00/17:00
※ 3.16(土)13:00公演には託児サービスがあります。お電話にてご予約が必要です。
イベント託児・マザーズ0120-788-222
0才・1才 2100円
2才以上 1050円
■ チケット(前売り・当日)
一般|3000円
U25|2500円
U18・高校生以下|1000円
※全席自由
※前売り・当日は同料金
※割引チケットをご利用のお客様は、年齢を証明できるものをお持ちください。
※完食チケットでご観劇のお客様は、備考欄に「完食チケット」とお書きください。
■ スタッフ
ドラマターグ:大池容子(うさぎストライプ)
舞台美術:伊東あおい
舞台監督:髙﨑悠珂
照明:石野真也
照明オペレーター:鷲津悠
音響:平井寛人(studio hiari)
音響オペレーター:木村友哉(ザジ・ズー)
制作:渡邉結衣(みちばたカナブン/にもじ)
制作補佐:観月杏樹
演出助手:佐藤琢磨
衣装:岡花暖
宣伝美術:酒井まりあ(演劇ユニット タイダン)
※開場は開演の30分前です。
※上演時間は80分を予定しております。
※未就学児はご入場いただけません。
※車いすでご来場のお客様は、チケットご予約の際にその旨お教えください。ご来場いただく時間など、個別にご相談させていただく可能性がございます。
※視聴覚障がいをお持ちの方は、客席までスタッフがご案内します。
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