ファーストサインって、なに?
こんにちは。
千葉県流山市にあるいちばんはじめの親子のコミュニケーションスクール「きいろいぼうし」の中村ともみです。
わたしがお教室でお伝えしている「ファーストサイン」。
これは、いったい何なのかといいますと、
ファーストサインとは、おしゃべり前の赤ちゃんとママ・パパのコミュニケーションの方法です。
順にご説明いたしますね。
ファーストサインとは、おしゃべり前の赤ちゃんとママ・パパのコミュニケーション
「おしゃべり前の赤ちゃん」とは
泣くことしかできなかった赤ちゃんも、だいたい1歳前後でおしゃべりをスタートします。
もちろん、発達によるところが大きく個人差がありますが、自治体で実施している1歳6か月児を対象とした健診では、意味のあることばを話しているかどうかを問われるので、ここが一つの目安になっています。
しかしここで、おしゃべりがスタートしたからといって、それはまだ「ママ」とか「ブーブー」とか「ワンワン」の世界です。
赤ちゃんが思っていること、感じていることを、ことばで周囲に伝えられるようになるには、まだしばらく待たなければなりません。それは別の機会にお伝えいたします。
このおしゃべり前の赤ちゃん。実は、たくさんのことをママやパパに伝えてくれています。
たとえば、こんな経験はないでしょうか。
泣いている赤ちゃん。お腹が空いて泣いているのかな、と思いミルクをあげたら泣きやんだ。
散歩中に鳥の鳴き声が聞こえた。赤ちゃんが声のするほうを指さしたので、「鳥だね」と話しかけたらよろこんだ。
きっと、育児中であれば日常的に見られる光景だと思います。
これらはすべて、赤ちゃんからのことばによらない語りかけに対して、ママやパパが反応したから成立したコミュニケーションです。
ファーストサインもこの延長線上にあります。
「ママ・パパ」とは
ファーストサインはご家庭で行うコミュニケーションです。
赤ちゃんの相手方の代表としてママ・パパとしていますが、おじいちゃん・おばあちゃんやおじさん・おばさん、お兄ちゃん・お姉ちゃんも含まれます。
では、家族以外には使えないのか、と問われれば、使えることもあるし使えないこともあるという、なんとも歯切れの悪い回答になります。
ファーストサインは日本生まれのため、日本で暮らすひとたちの生活習慣に根づいたものが多く、おててのサインを知らない相手であっても伝わりやすい、という事実はあります。
しかし、耳が不自由な方が使う手話とは異なり、ファーストサインはご家庭内で使いやすいようにアレンジしたり、新しいサインをつくることもお勧めしているため、ご家庭によってそれぞれのファーストサインが存在しています。
ご家庭で行うコミュニケーションであるとおことわりしているのは、その理由からです。
「コミュニケーション」とは
ファーストサインのコミュニケーションは、双方向です。
ママ・パパから赤ちゃんへ、赤ちゃんからママ・パパへという両方のベクトルを示しています。
「ファーストサインを使うと、赤ちゃんが言うことをきくようになるんですよね?」
と、期待を抱いてレッスンに来てくださるママ・パパがいらっしゃいますが、残念ながらそうではありません。
もちろん、ママ・パパの言いたいことが赤ちゃんに伝わりやすくなりますが、同時に、赤ちゃんの言いたいことも伝わります。
パパが「お風呂に入ろう」と伝えても、赤ちゃんに断られることだってあるわけです。
赤ちゃんがノーと言ったらノー。
それは、ファーストサインがママ・パパの指示を出すためのツールではなく、親子の双方向のコミュニケーションだからなんです。
ファーストサイン = おててのサイン?
ここまで、ファーストサインについてご説明いたしましたが、ファーストサインにまつわるよくある誤解をもう一つだけ挙げますと、
「ファーストサインを使うには、おててのサインを覚えればいいんでしょ?」
というもの。
たしかに、ファーストサインではおててのサインを覚えると便利ではありますが、試験ならば100点満点中30点程度。
なぜならば、ファーストサインの肝は、おててのサイン以外のところにあるからです。
本やサインシートを見ながらおててのサインだけを覚えたのでは、赤ちゃんには伝わらないのはそのためです。
もったいない。わたしがレッスンを提供しているから言うわけではないですが、せっかく、赤ちゃんとおしゃべりしたい、と本まで買ったのに、赤ちゃんに伝わらないのはもったないと思います。
そのためレッスン会場では、ファーストサインの肝がしっかり身につくまで繰りかえし、繰りかえし練習していただいています。
サイン育児、わが家の場合
さて、わが家のおしゃべり息子。先に述べた1歳6か月健診では、「発語の遅れ」を指摘されました。
意味のあることばをまったく話していなかったからですが、そのときわたしはまったく心配していませんでした。
なぜならば、ファーストサインを使って息子としっかりコミュニケーションをとっていたからです。
この件はまた改めるとして、このように、ファーストサインはわたしたち親子のコミュニケーションの方法としてだけではなく、お守り代わりにもなっていたことを最後にお伝えし、この章を終えることにいたします。