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絵本のふしぎ/今年と3年の振り返り

もう明日には新年ですね

今年のことを記録がてら綴ります
これは自分にとっての大切な日記のようなものです

©hagumimorita


▢今年のことを話すには、3年前のことをすこし▢

 私は3年前保育士をしていました。
ですが、コロナ禍での働き方、今後のことそして色々な節目や自分の想いが重なりあい、
保育士の仕事を辞めることを決めていました。
それでも天職と思って頑張っていた仕事。やっぱり心のどこかで迷いもあり‥

そんな時に駅の本屋さんでこの本に出逢いました
手にとったのは表紙の絵が好きで気に入ったから
ただそれだけの理由でした。今見てもとてもかわいい‥

石井ゆかり『3年の星占い』
2021-2023

そして、なんとなく占いだけれど自分の気持ちを
励ましてくれるようなものが欲しかったからということもあります。ここに書かれていることにたくさん勇気をもらいました。

丁度その頃私が仕事を辞めることを話していた友人と一緒に、これから3年のことを話していました。

彼女はその時不妊治療をしていて、
それぞれに頑張る事柄は違うけれど
お互い頑張ろうと励ましあっていました。

ちょうどその時期に2人でアーノルド・ローベルのPlayMUSEUMでの展示を見に行きました。

私はアーノルド・ローベルが大好きで、中でも
『こぶたくん』という絵本が大好きなのです。

アーノルド・ローベル『こぶたくん』


彼女に「◯○がママになったら絶対こぶたくんを
プレゼントしたいと思ってる、とってもいい絵本
なんだよ」と話したのを覚えています。
それは私の夢の1つでもありました。彼女はとてもかわいくて優しくて自慢の友人です。そんな彼女の頑張りが報われるように、そして絶対ぜったいにこぶたくんを渡す日はくると信じていました。

私達はPlayMUSEUMでかえるくんとがまくんのクッキーというお話のシールを貰ったのですが、その言葉を見ながらまた二人で頑張ろうねと約束をしました。

がまくんとかえるくん ふたりはいっしょ
『クッキー』

それから数年私は準備をし、
今年の1月に開業しました。

前半はやみくもに走っていたような気がします。

6月は自分にとってずっと憧れていた方に会って、
でもだからこそ自分のぶれに気が付いてハッとしたりしていました。

そして夏の終わり、とあるギャラリーに絵を受け取りに行ったときそこのギャラリーの方が私の絵を見て、
「あなたの絵からはお話を感じられるから、絵本描いたらいいと思うよ」
という言葉をかけてくれました。
その時の私は迷いや落ち込みの中にいたのですが
その言葉でハッとして、

絵本、やっぱり絵本‥‥!!!

と思って心が震えました。

実は絵本は学生時代から保育士になってもずっと描いていました。
絵本が大好きだったので絵本の研究グループに入って素晴らしい絵本にたくさん出逢い、そしてそれからというもの少しずつ描くのをやめていっていたのでした。

よい絵本に出逢うたび、こんなに世の中には素晴らしい絵本があるのに自分に描く意味は無いと思っていくのです。特に私は荒井良二さんの『あさになったのでまどをあけますよ』と、ドロシーマリノのくんちゃんシリーズに出逢った時にはショックがすぎました。大好きでだいすきで、ガーン!!!

でも、心の底では
絵本を描きたいという想いがあったのだと思います。

そんな中で少しあれから時が経ち、この言葉をもらって、やっぱり描いてみようと思いました。


森田はぐみ初個展『Noel』


今年の冬にははじめての個展がありました。
その個展でも自然とお話のある絵の展示となりました。(記事はこちら)



個展には励まし合ってきた大好きな友人も
来てくれたのですが

なんと‥赤ちゃんを抱いて!

今年の春に生まれた赤ちゃん。

2人で、
3年頑張ったね 私たち‥‥!と伝え合って
‥‥とても感慨深い時間でした。


私は彼女に『こぶたくん』の絵本をプレゼントするという夢も叶いました。


©hagumimorita

個展にはSNSで知り合ったデザイナーさんも
来てくれたのですが、なんと鞄にアーノルド・ローベルのかえるくんがついていました!
とても優しいデザイナーさんでたくさん勇気をもらいました。そしてその方とお話する中でやっぱり絵本頑張りたいなという気持ちがふつふつと湧いて確かなものになっていきました。

 また、個展会期中に絵本の出版社の方にも出逢いその時に「絵本のかみさまはいるんだよ、だからやめないで、描いていこうね」と声をかけてもらいました。私はその言葉をもらってやっぱりやっぱり絵本頑張ろうとまたさらに思った後に、

私の個展の絵を見てくれた別の方にも
「絵本つくりましょう」と声をかけてもらったり
なんだか空気というか流れが、自然と絵本の方にすすんでいくのを感じました。

自分でも、あの頃とは違って
“素晴らしい絵本は世の中にたくさんあるけれど、
私も描いていきたい”という気持ちにしっかりと
変わりました。

そしてその3週間後には具体的な絵本の話が
決まってこの年末はそのラフを描いていました。

本当に不思議です。今年出逢った方々の言葉や励ましのおかげだと思います。
そして、絵本がくれた不思議な巡り合わせ‥

私は個展に来てくれたデザイナーさんに
お手紙を書いたのですが、書いている時にふと
かえるくんとがまくんに会いたくなって、
本棚から『ふたりはしんゆう』を取り出して巻頭を
読みました。そして胸がいっぱいになりました。

[巻頭 三木卓より]
ローベルさんの豊かでやさしい人柄が、
うれしいです。
子どものための絵本は、
やがてあらあらしい世界へ出ていく人の見るもので、
ローベルさんのような作家の心を読み、
味わった体験があると、ひどいことが起こっても、「人生こんなことばかりじゃないんだ。ほんとうはもっとすばらしいこともあって、そっちがほんとうなんだ」と心の中で思うことができるかもしれません。

『ふたりはしんゆう』
がまくんとかえるくんぜんぶのおはなし
巻頭 三木卓

がまくんとかえるくんのお話を翻訳されていた
三木卓さんの言葉です。

今世界で起きていること、理不尽で絶対起きてはならないこと、身の回りで起きている悲しいこと、
色々ありますがそのことを思いながらこの言葉を読むと、改めて絵本の持つ意味などを考える機会となりました。
本当にローベルさんの絵本は素晴らしかった。
私もいつかそんな、
子どもたちが(大人も)出逢えてよかったと思える絵本をつくれるようになりたいと思いました。

そのためにはちゃんと生活を大切にして生きて
描いていきたいと思います。


イラストも漫画も、絵画も、絵本も色々と描いてきたここ数年。
それでもこの年末に、3年やってきた全てのことに実りがあって迷いながらもやってきて良かったと
思えたことが本当にありがたいです。
たくさん間違えたり失敗したり苦しかった過去にも。


来年は取捨選択しながらも目の前のことを大切にして、そしてがまくんとかえるくんのおはなし『クッキーの“いしりょく”』を、忘れずに、
またここから3年を見据えて頑張っていきたいと思います。

石井ゆかり 3年の星占い
2024-2026


いつも応援してくれているみなさん本当にありがとうございました。
みなさんにとっても明日からの3年がよい時間となりますように。健康と安全を心から願って。


来年もどうぞよろしくお願い致します。
よいお年をお迎えください。

森田はぐみ




青森県出身埼玉在住のイラストレーター/作家の
森田はぐみです。

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