見出し画像

05.振り返り

自分には、なにが足りないのだろう?

僕達は課題に行き詰まると、しばしばそう考えます。

けれど、むしろ余分なものをたくさん抱えているから上手くいかないことも多いのではないか?

そんな疑問を持ちました。そのための一手として「アンラーン」が求められていると考えました。そんなアンラーンに関する連続記事です。

今回は、第5回です。なるべく単体でも読めるようにはしていますが、前回を引き継ぐ内容になっていますので、未読の方は以前の記事を先に読まれることをお勧めします。

01.まえがき
02.アンラーンとは?
03.アンラーン実体験
04.量的な体験と記録
05.振り返り(このページ)
06.他者の力を借りる


前回は量的な体験とその記録について触れました。

判断を保留した上で、事実と主観を分けて見つめてみるためには記録を取ることが必要で、また体験の量が求められます。しかし、ただ記録しただけでは次にどのように行動するかは見えてきません。

今回は、そのために必要な「振り返り」についてこの記事では書いていきます。

「内省と批判的内省」:そもそもを問う

時間は止まってはくれないため、日常の中でなにかしらの出来事は起こり続けます。それらの出来事に対して僕達の思考やアクションは、価値観や信念、あるいは習慣などによって無意識に選択されます。

その無意識に眠っている部分こそアンラーンしたいものです。渦中にいるうちは目の前の物事を冷静に見つめられないため、それを明らかにするために少し離れた視点から客観的に見るのが振り返りです。「メタ認知」などと言われることもあります。

「私はどんな価値観で動いているか?」

「どのような前提が自分の中にあるか?」

定期的に時間をとって、自分との対話をしていくプロセスが振り返りになります。

とはいえ、僕達は誰しも自然と内省を行っています。

お風呂に入ったり、ベッドに入ったりしながら、なんとなく今日の1日を思い返して「楽しかったな」「疲れたな」「あそこはもっと〇〇すべきだった」と考える。

ただ、それが直接アンラーンにつながるとは限りません。いつも反省しているのに、同じような失敗を繰り返す人がいるでしょう?

『仕事のアンラーニング 働き方を学びほぐす(松尾睦)』では、内省にも通常の「内省」と「批判的内省」があると言っています。

内省=“仕事上の目標・方法・アプローチを見直し、修正する”
批判的内省=”自分の中で「当たり前」になっている信念や前提を根本的に問い直す”

『仕事のアンラーニング 働き方を学びほぐす(松尾睦)』

このアンラーンの探求では、仕事のことだけでなく日常的な場面も含めて想定しているので、もう少し広く、内省は「評価や改善を含む頭の中のつぶやき」と考えていますが、その内省だけでは足りないことに気づくでしょう。

アンラーンの振り返りにおいては、一歩踏み込んで「そもそも」や「なぜ」と問う「批判的内省」を行いたいのです。

事実の記録から得られた知見を通して批判的内省としての振り返りをしてみれば、手段が目的化していたり、当初の目的から行動がずれていたりといったことが明らかになっていきます。

無自覚だった思考の癖を明らかにすることによって、僕達には選択肢が生まれます。今まで通り過ごすのか、違う道を探るのか?

その後の選択についてはさておき、唯一だと思っていた選択肢がそうではないと知ることは、大きな変容を生みます。アンラーンを続けていけば、選択肢はさらに増えていくのでしょう。

「具体と抽象」:振り返りを助ける

振り返りをしていく上で、重要な考え方として「具体と抽象」があります。

個別のもの・コトを具体とするならば、抽象とは、具体をメタ認知して立ち現れてくるもの・ことです。

振り返りでは、具体と抽象を行き来することが重要になります。異なるものから共通点を見出すことによって抽象化し、本質を明らかにします。そして、似たものから違いを見つけることで具体化できます。

たとえば、毎日の体調を記録する。

この具体的な行為を後から見返してみると、「食べすぎた翌日は体がだるい」などと自ずとパターンが見えてくるはずです。

さらにじっくり見つめてみれば、パターンを引き起こす構造やその裏に潜む自分の思考の癖が浮かび上がってきます。

しかし、そのままではなにも変わらないので、学んだことを具体的な行動に落とし込む必要があります。毎日の体調を記録することを例にしてみます。

「体調が良くない日がある」(具体)

「夜ご飯を食べすぎた翌日は、どうも体調が良くないようだ」(抽象化)

「夜は、お米を半分にする」(具体化)

このように具体と抽象を行き来することが振り返りを促進してくれます。

「内省」と「批判的内省」も、具体と抽象に照らし合わせてみれば、具体的な「内省」を抽象化して、「批判的内省」が生まれてくると考えることもできます。

よって、注目度としては「批判的内省」が高くなりますが、日々の「内省」を疎かにすると「批判的内省」の質にも影響が及びます。

振り返りの盲点

振り返りは、1度やっただけでは狙い通りにいかないケースが多々あります。

そのため、振り返りも定期的に繰り返し行っていくことで、今まで知らなかった自分と出会ったり、真に求める問いと行動が導き出せるようになったりするでしょう。

しかし、1つ忘れてはいけないことがあります。

僕達には、必ず盲点があります。

どれだけ完璧にアンラーンをすることができたと思っても、それはあくまでも現在の自分の枠組みから捉えたことに過ぎません。その盲点は、限りなく減らすことはできたとしても、自分1人では決して網羅することはできません。

誰かの力を借りるのです。

次の記事では、他者の力を借りることについて書いていきます。

読んでいただきありがとうございます。 励みになります。いただいたお金は本を読もうと思います。