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担ぎ手の入れ墨光る夏祭り

人は見かけによらないとよく言います。強面の悪役俳優さんは実は私生活ではとても優しい人だと言われることは多いですね。だから人は見かけで判断をしてはいけないとも言われます。勿論、それが正解なのですが、実社会ではなかなか正しい判断が出来ないのが人間です。

悪役俳優の場合はその悪役振りを演じているのですから、そんなシーンをいつも見せられれば当然、その印象が頭にこびりつきます。でもそれだからこそ、普通の対応、普通の生活をしているだけで「本当はいい人なんだ」という逆の印象を強く与えることになります。なんか少しずるい感じもしますが普段損をしていると考えれば、それもありですね。

ACジャパンの公共広告でもコンビニでレジの後で待っているサングラスのお兄さんが実はいい人という設定になっています。でも私にはこの広告は若干違和感を感じています。確かにそんなに悪い人ではないかも知れませんが、コンビニの中くらいサングラスを外す配慮があってもいいのではと思ってしまいます。自分が人からどう見られるか、自分が脅威と思われていないかと言う思慮も必要ではないでしょうか。

さて現実の世界ではなかなかの色男が強盗団の一味だったり、悪いことをしそうも無い優しい顔をした人が人を殺したりと見た目で判断出来ないことばかり起きています。やはり人は見た目で判断してはいけませんね。

ところで絵に描いた遠藤憲一さんは若い頃はあのこわい目のせいか悪役俳優として主にヤクザの下っ端役をやっていました。でも朝ドラの「てっぱん」で頑固だけど人のいい親父を演じてからはカタギの役が増えた気がします。ドクターXでは憎めないちょいわる医師を見事に演じ、今では好感度の高い男優に名を連らねているようです。俳優は見られてなんぼ、見た目が財産ですが、彼は顔つきは悪いけど実はいい人と言うそのギャップを完全に自分のものとしてその財産を最大限に活かしていますね。お見事!!

AUのCMで「あまのじゃこ」と言う女の子が出て来ますね。「若いでまとめないでください!」がとても印象的です。ひとまとめにすると言うことはそのグループにレッテルを貼ることであり、差別に繋がりやすいです。見た目でまとめないでください!と誰かさんの声が聞こえそうです。

担ぎ手の入れ墨光る夏祭り

日頃は余り入れ墨を入れた人とお近づきになりたくないですが、夏祭りでお神輿を担ぐ人には何故か入れ墨がよく似合います。筋肉もりもりだったら更によしです。

ところでこの入れ墨ですが、江戸時代は刑罰の一つであり、軽犯罪なら腕に重罪の場合は顔(主に額)に入れられていました。明治になって入れ墨は禁止されましたが、開港と共にやって来た外人の船員さんが入れ墨はクールとばかり、オシャレ感覚で入れ墨を入れるようになりましたた。そして第二次世界大戦の終戦により入れ墨そのものは米軍により解禁され、地下にいた彫り師も表に出られるようになります。でも流石に日本で入れ墨をする人はほとんどがヤクザ・極道でした。しかし平成の時代になると彫り物を入れるのは医療行為だと言うことになり、2001年には医療機関以外で入れ墨を彫ることが禁止されました。でも覚えている方も多いと思いますが、勇気あるアーティストが入れ墨は芸術であると主張し、この「医療行為」を続けた為、2015年に逮捕され事態は司法へと進展します。地裁では有罪、高裁では逆転無罪、そして2020年最高裁は検察側の控訴を棄却し、無罪つまり彫り師に医師免許がいらないことが確定しました。(この裁判報道をテレビでやっていた記憶はありません。)多分、彫り師に医師免許が必要だとした国は日本だけでしょう。(本当は医療行為にした上で医者には入れ墨を入れないように指導したかったのでしょうね。)公衆浴場や温泉施設では「入れ墨の方お断り」の看板を立てているところも多いでしょうが、最近は外人観光客が銭湯にも来る時代になったので、そろそろこの入れ墨禁止の看板も無くなるのでしょうか?ちなみに日本プロボクシング協会では「日本人だけは入れ墨禁止」という非論理的なガイドラインを今も守っていると思います。タトゥーを入れた世界チャンピオンの井岡選手は入れ墨のところをファンデーションで隠していたものの試合中にそれが取れてしまい大問題に発展しました。協会は反社会的勢力との決別を重視した結果、このような方針を取って来たのですが、タトゥーがあれ反社会的というのはまさに「見た目で判断」であり、やはり行き過ぎでしょうね。日本の常識、世界の非常識を世界中に晒してしまいました。

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