半夏生
私が半夏生の存在を知ったのは京都の等持院だったと思います。歴代の足利将軍の像があるのでそれを見に等持院を訪れた時、庭を散策しているとカラーの花が咲いているなと思ったのです。よく見ようと近くに寄ってみるとなんと葉っぱが白くなっているだけでした。植物の病気かなと思いましたが、病気らしくない綺麗な姿でした。後日、花はないのかなと調べて見ると垂れ下がったつぶつぶの房が実は花房でした。
半夏生はもともと半夏生と言う七十二候の一つで、その頃に咲くから半夏生だと思っていました。俳句をしている人には当たり前なのかも知れませんが、夏至から数えて11日目からの5日間が半夏生、半夏雨なんて言う雨もあるし、カラス柄杓という薬になる根も半夏と言うんです。と、ここで又々新たな発見をしました。このカラス柄杓が咲く頃と言うことで七十二候の半夏生が採用されたらしいのです!なんとなんとこの「カラス柄杓」という別の植物が半夏生の本家なのでした。カラスがつまみそうな小さな柄杓の形の植物で片白草とは似ても似つかないただの草です。
半夏生は片白草という別名もあり、葉っぱが半分白いから「半化粧」でそれが半夏生になったという説もあるそうですが、う〜ん!どんなもんでしょう。
俳句では半夏生は七十二候で仲夏の季語ですが、植物の半夏生も片白草の子季語にありました。でも仲夏ではなく初夏なので七十二候よりは早い旧暦5月ということでしょうか。
尼寺に密かに咲きし半夏生
半夏生の白い姿が何故か尼さんの白い被り物(正確には被衣物)に見えたので一句作りました。
半夏雨心は故郷の崖崩れ
半夏雨とは梅雨の後半の激しい雨のことを言うらしいので、最近の集中豪雨で実家の近くの崖が気になる嫁さんになり代わって詠ってみました。
長雨に手足伸ばして半夏生
半夏生は田植えを終えた農家がゆっくりと家で過ごす期間とも言われています。半夏生は天から毒気が降って来る日とも言い、井戸に蓋をし、この時期に採れた野菜は食べなかったそうです。井戸や田畑に汚水が流れこんで下痢をおこしたりと危ない季節でもあったのですね。
しかし半夏生でなかなか自分の句が作れません。余りに半夏生と縁がないのでしょうね。