ラーメン二郎全店舗を制覇した男が全店舗制覇よりも優先していた店…ラーメン二郎神田神保町店への愛を語る。
先々週の新潟店・会津若松駅前店・仙台店への訪問を以て
ラーメン二郎全店舗制覇を達成した。
本当に長い道のりでした。
この2020年12月で、本格的にラーメン二郎を食べ始めて6年ちょうど。
その間に閉店した店…新小金井、蒲田、新橋などもあった。合計すれば44店舗に訪問したことになる。
本当に、長い道のりでした。
それこれも…前回の投稿で挙げた5店舗
これらの店とその他、目黒やら府中やらなにやらで美味しい店が多すぎるのがいけないのです。
それ以外にも亜流と呼ばれる元二郎の店や、数々の東京都内のラーメン屋を知ってしまったことにより
ぶっちゃけ、マジで全店舗制覇とかどうでもいいと思っていた自分が…いました。
ここからはすべて、その言い訳でございます。
店に通いこむ魅力
様々な店に行って得られる知識・経験はたしかにあるものの、1店舗に通い詰めてその店の良さを知ること、得やすいエクスタシーから目を背けるのもまた、愚行であると言える。
だからこそ、ラーメン二郎好きには「ホーム」が存在する。
慣れ親しんだ店、勝手も知る店がひとつあり、それを愛することができれば、「ラーメン二郎という概念を食べているだけ」にはならないはずだ。
とは言え、やっかいな常連にはなってはならない。店主に覚えられた!といって喜ぶのはそれ当然のことだが、店に迷惑がかかるようなことにはなってはならない。風変わりなサービスがあると期待するのはまた、話が違う。
「Youtuberとして許可取らずに撮影しに行く」のもダメだし
逆に「あのYoutuberが来たら店めっちゃ混むじゃん」みたいなことは心の中だけで思っておくべきだし、ネガキャンなどは絶対にしてはならない。
黙々と愛しながらも、その日の一杯について感想を温めながら人に話すもよし、ブログに書くのもよし、人にLINEするのもよし。
こんなところでこっそりと、よくわかんない使命感に駆られて愛をぶちまける性をどうか許してほしい。
ラーメン二郎神田神保町店
マイベスト・オブラーメン二郎にしてワンオブ・ザ・マイベスト・ラーメンのひとつ。神田神保町店。
と、前回のでも同じように書いたが、私にとってはこれ以上の説明はない。
最も好きなラーメンである。
私が初めて訪問したのは忘れもしない2015年1月…三田本店や品川店で東京の二郎への一歩を踏み出した私だったが、そこで嗅いだ香りと味は格別なものだった。
ダクトから吐き出される香りがもはやラーメン二郎標準のそれとは違い、生姜とその他香味野菜が効きまくった美味しいラーメンのそれだったのだ。
内勤メインのサラリーマンゆえに、業務中に外食をするというのもなかなか難しい。となれば、夜にラーメンを食べに行くしかないとしても、朝にはやはりニンニクの臭いが残る。そうなると、夜にラーメンを食べに行くのもまだ憚っていた時期である。
となれば、限られたチャンスは土日…私はこの1年目の2015年、月に2回近く神保町に足を運び、ここでラーメン二郎を学んでいったと言っても過言ではない。
様々な友人、先輩との出会いもあった。未だに続く交友関係もある。無駄にSNSでブイブイ言わせようとしていた自分が、今や恩師と慕う人と出会うきっかけになったのも、この店に通い詰めていたからである。
旧店舗時代の伝説
2000年代の中盤に旧店舗を神保町、九段下側にオープン。下手をすれば1区画分の距離の行列を形成し、靖国通りまで届いてしまうほどの名店であった。
旧店舗時代には強盗にも入られたこの店…強盗のニュースを聞いたときには私も怒り狂ったものだった。
その怪我の功名は下記動画を見ればわかる。
サムネを見れば一発だが、
「レベルの高い合格点を超える二郎 オールウェイズ出してくれる」
これは至言である。
当時の写真…卓の色がなつかしい。
入店方式はその当時から現在まで、変わらず1ロット完全入れ替え制。1ロット分提供されたら、その前のロットが食べ終わるタイミングでスタッフから声がかかり、次ロットの5〜6人(今は座席数減らして5名)が入店する。
「ラーメン二郎は入店のタイミングがわからない」といった声もよく上がるが、ここではただ待っていればいいので非常に明快だ。
新店舗から現在に至るまで…そのお味
2017年11月25日を以て全店舗での営業を終了し、満を持してその2週間後の12月11日より現在の店舗(三省堂書店神保町と神保町花月のちょうど間)での営業が再開した。
旧店舗から新店舗への移転については…
まず店主がそこまで暑そうにしていないという点で大成功だと言えるだろう。
非常に複雑な香味野菜の香りと、厚すぎず薄すぎずのボディを感じさせる出汁ならびに液体成分のアブラ。複雑な香りとか言っておきながら、寸胴に投入された生姜とネギによるところが大きい気がしている。
醤油の味がぼやけないほどにしっかりとした油脂分を感じさせてくれるバランスの良さもまた天下一品。
そのスープを、柔めの麺ががっしりと掴んで口まで上がってくるのだ。こんなに幸せなワンストロークが、これまでこの世界に存在しただろうか。
キリッと洗練されたスープにはいかなる魔法がかけられているのか。全く理解が追いつかないほどにキリッとしており、歯など噛み締めた日にはなんだかかみ合わせが良くなったしホワイトニングしたっけ?と錯覚するほどのテカリ具合を感じることになる。
最近は麺が柔らかくなったという声をよく聞くが、よく観察していると、神保町店は常に麺が茹でられている状態が見受けられる。それに新たな麺を入れ、早めに麺上げすることによって硬い麺と柔い麺が混在した状態になり、バランスをとっているのだ。
私はこれを見て、こんな発明があるのかと感動した。
まぁ柔らかすぎてちょっと引いたこともあったがそれもラーメン二郎のブレだ。
慣れというのは恐ろしい…麺量ハラスメント発生
その上なによりも麺の量。量。異常なまでの量。
当然、柔軟に麺少なめ・麺半分・麺四分の一など対応していただけるが、小の標準でもそれなりの麺量。ヤサイはマシでもマシマシでもそう変わらない。
変わるとすればおそらくそれは「認知」が生まれた瞬間だ。
そんなことをしなくても当然、麺だけでラーメン二郎の中でもトップクラスと言われる食いごたえを堪能することが出来る。
これが大ラーメンになるとグッと量が増える。ラーメン二郎標準くらいの増加幅ではある。ただし、この街の住人…大学生であったり、古本街に務める書店員、ならびに出版社のサラリーマンなんかが美味しくて好きすぎて毎日通って顔を覚えられた日には最後。 なんだか勝手に麺量が増えていくのである。
それも少しずつ、我々の力量を図っていくかのごとく微妙に。
まず「ヤサイの山かと思ったものは実は麺の山」現象が起きる。
お気づきいただけただろうか。この写真は縦に伸ばしてもいないし、面倒だからトリミングしなかったわけでもなく、その余白によってことの重大さに気づいてほしいからそのまま載せたのだ。
そしてあるときは事故が起こる。
「入れ過ぎちゃったしヤサイたくさん食べたいだろうから」などと言って乾いた笑いを響かせる。
この時、私は横に座っていた友人にヤサイを少し分けた。こんなん、無理難題すぎたんや。
「社長!自分、今日はヤサイの水分で薄まらない純粋なスープが飲みてえっス!」
とか言いながらヤサイヌキコールをすると、変な円盤型の物体が登場する。こんなんもうギャグでしかない。
「ヤサイいらないなら麺入れてあげないと」なんて空耳すら聴こえる。
店主が食えると確信した場合にしかこんなものは出てこないが、出された方はいい迷惑である。内心ニンマリ2割、食えるかどうかの心配8割だ。
これか!?これがインスタ映えってやつか!?
毎日100人や200人の客を相手する接客業ゆえ、そこまで客の顔を覚えられるものか?とは思われるかもしれないが、飲食店経験のある自分に言わせれば「インパクトがあれば一回で覚える」。
その上、店の方から聞いた話だが…大ラーメンは1日に5〜10杯程度しか出ないらしい。毎週、大ラーメンを食えば顔くらい覚えてしまうのは当然なことなのかもしれない。
夏の限定メニューが恋しい
夏場になるとどうもやっぱり店主も手を冷やしたくなるらしい。やっぱり暑いもんは暑い。それは間違いない。
そういうときに出てくるのが…つけ麺だ。
年一回のつけ麺提供も今年はなかった。それまでは毎年一回、8月になると異常な行列を見せる日だ。
このときはご厚意でネギを入れてもらったわけだが、水で締めたゴリッとした麺をお醤油濃いめの汁にくぐらせてズルっとやれば嗚呼…最高の一口を味わえる。
年によって柑橘が香る仕様になるのがまた、神保町のビル街にBreezeを吹かせてくれるのである。
ちなみに去年はつけ麺ではなく「冷やし中華風」。
コミケとぶち当たったせいか、お盆とぶち当たったせいか、その並びも非常にすっきりしていた。
工夫を凝らしたメニューもたまに出てくるし、持ち帰りのラーメンの提供も今年は嬉しかった。
最近ではうずらの玉子のトッピングも出てきたので、そちらも併せればさらなる楽しみが増えることだろう。
終わりに…注意事項
ラーメン二郎神田神保町店の解体新書『序章』としてご覧頂きたいコンテンツを制作したわけだが、ラーメン二郎は一歩間違えば危険な食べ物である。
・絶対に無理して食べない(そして絶対に路上で吐いたりしない)
無理して食べるくらいなら残す!
・熱中症・防寒対策をしっかりと整える
並び時間が1時間を超えることもあるので、夏場は水分補給、冬場はしっかりと着込んでいこう。
・面白半分、インスタ映えを狙って大ラーメンを注文しない
これらのことを守って、楽しくラーメン二郎ライフを送っていただきたい。
先にも書いたが、この店舗の一番の難関は並び方・並び時間の長さだ。
近隣施設・店舗との関係継続のため、並び方も非常に難解となっている。並ぶときはまず並び方を目で追って理解するか、店員もしくは先頭に並んでいるお客さんに聞いてみよう。
一度ハマったらやめられない神保町二郎の魅力。
お気をつけておハマりください。