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素材なんて・・・
先日、花村萬月氏が駆け出し時代に編集者から教えてもらったことを紹介した。
もう1つある。こちらは「小説すばる」の編集長(当時)から教わったことだそうだ。
「萬ちゃん。盛り込みすぎないようにね。小説は、とりわけ短篇は、素材なんて爪の先のごくごくほんのわずかだけでいいんだよ。それでつくりあげられなければ、二流」
確かに盛り込みすぎるとよくわからない。
村上春樹氏の『ドライブ・マイ・カー』などが一流の短篇の好例かもしれない。何しろあの短い話が3時間の映画になるのだから。
要するに作者が盛り込まなくても、読者が盛り込んでくれるのが一流の作品ということだ。