3年半ぶりの台湾へ 後編
昨日よりも遅めに起きてひとまず朝食を食べに行くことにした。向かったのは大稻埕慈聖宮と言う航海の神様がまつられている廟。なぜ廟?となるかもしれないが、この廟の周りにはご飯屋さんが軒を連ねており、廟の境内(廟の敷地のことも境内というのだろうか?)でご飯を食べることもできるのだ。前回の台北旅行時にも訪れたことがあり、そのロケーションが気に入ったので今回もここで朝食にしようと思った。
朝食に選んだのは前回と同じく「阿蘭大鼎魩仔魚炒飯」というお店。ここの名物がしらすがふりかけられた炒飯だ。卵入りのあっさりとした味の炒飯で、めちゃくちゃ美味しいというわけではないが、ガジュマルの生い茂った廟の境内というロケーションで食べるとなぜか絶品に感じてしまう。併せて頼んだのは蝦仁蛋包湯という卵とエビが入ったスープ。調べると台北市内ではあまり食べられるところがないようだったので頼んでみたが、なかなか美味しかった。
食べた後は廟の中などを見て回った。台湾の廟は日本と違ってギラギラしており、日本人との感性の違いを感じさせられる。中では熱心にお祈りをささげている人たち、談笑する人たちがいて、地元に根付いた信仰の場となっていた。台湾観光ではポピュラーな迪化街にもほど近いのでぜひ訪れてみてほしい。
この日記の前編にも書いた気がするが今回の旅はいかに美味しいものを食べるかを焦点に定めていた。そこそこ歩いて胃の中もすっきりしてきたので、昼食を求めに向かった。
自分は無類のカレー好きで、日本でもどこか遠出をする時には必ずと言っていいほどその土地のカレー屋を検索してしまう。その発作が台湾でも出てしまった。調べると日本式のカレー屋がそこそこあるではないか。別に日式でなくてもよかったが、その中で気になった「大阪香料咖哩」という店に行くことにした。
スパイスカレー発祥の地でもある大阪の名前を冠したカレー屋さんということで店名はかなりベタだが、潔さも感じる。ネットの情報ではオーナーは日本人の方らしい。店の外観や内装も日本ぽさが醸し出されている。
この日もかなり暑く、メニューを見た途端飛び込んできた台湾ビールの文字に抗えずさっそくビールを頼んで流し込んだ。このために生きているといっても過言ではないとその時は本気で思った。カレーはメニューの中でも一番基本であると思われる「大阪スパイスカレー」にした。台湾に寄せたわけではなく、味はオーソドックスなスパイスカレーで美味しかった。台湾の地で慣れ親しんだスパイスカレーを食べるというのもなかなかに不思議な感覚である。
※この日記を書いているときに店の情報を調べていたところ、残念なことに6/29閉店の文字が。あれが最初で最後の思い出となってしまうとは…。
お腹もふくれたので、この日の主たる目的地として選んでいた基隆へ向かうことにした。
基隆は台湾の最北端にある港として栄える町だ。台北駅から台湾鉄道に乗って1時間弱の場所にある。大阪香料咖哩が忠孝復興エリアという場所にあったため、MRTで南港という駅まで行ってからここで台湾鉄道に乗り換えた。この南港駅で一杯コーヒーを飲もうと思い、台北市内でめちゃくちゃ見かける「Louisa Coffee」というチェーン店に入った。この時にレジで接客してくれたお姉さんがこの台湾旅行中で一番日本語がぺらぺらで謎に感動した。
話がそれたが、南港から台湾鉄道に揺られること約40分、基隆に到着。駅から外に出ると磯の匂いが運ばれてきて港町であることを実感した。基隆は三方を山に囲まれており、海から山が近いという意味では神戸に近いかもしれない。
とりあえず駅周辺をぐるっと歩いて街並みを楽しんだ。基隆は雨が多い土地らしいがこの日は晴天で気温も高い。なによりも湿度が高いためちょっと歩いただけでも体力をごりごり削られる。そのため途中でマクドナルドへ入った。胃のキャパは晩御飯に残しておかなければならないため、コーラのMサイズのみ注文。しかし、日本のLサイズよりも大きいのではないかという容器に出てきてたまげた。胃の中がたぽんたぽんになったものの、かなり体力が回復できた。台湾のマックにはレジ横にタッチパネルが数台置いてあって、これでも注文ができるぽかった。日本でも都心などでは導入されているのかもしれない。
そんなこんなで晩飯時に。やってきたのは「基隆廟口夜市」だ。食が中心の夜市で規模もかなり大きく、多くの人でごった返していた。その活気と熱気に怯みつつも何か食べるぞと思い良さげな店を物色。
まず入ったのは「呉記螃蟹羹」というお店。ここの名物はカニのスープらしい。とろみのある汁に野菜などが入っている。写真の黒いひもみたいなのがカニだと思われるが、スープにあまり”カニ感”は感じられなかった。それでも暑い外気に当てられながら食べる熱々のスープはなかなか良かった。
次に入ったのは「大麺炒花枝羹」。蒸した麺が名物のお店らしく、店頭で山のように盛られた麺にそそられてここで食べることにした。
人気店のようで、ひっきりなしに人が訪れる。地元の人だろうか、テイクアウトをするお客さんも結構いた。店のおばちゃんに麺が食べたいと身振り手振りで告げる。そのあとおばちゃんが何か伝えてきたのですべてOKで返答したら麺だけ頼むつもりがスープも付いてきた。さっきスープ食べたのになと思いつつもすするとイカが入ったスープでこれがなかなか美味しかった。肝心の麺はというと、この台湾滞在中に食べたものの中で一番おいしかった。ちょっとにんにくのきいた焼きそばみたいなテイストで、日本人も好きなやつだと思う。5杯くらいは平気で食べられそうだ。
ほかにもいろいろと食べたかったが、結構お腹もいっぱいになってきたのでこの辺りで退散。複数人で来るとさらに楽しめそうな夜市だ。
台湾鉄道で台北に帰ってきた。ホテルへ帰る前に最後に訪れたのは
「PAR Store」という、台湾のインディー/パンクバンド、透明雑誌に以前所属し、今はソロなどで活動している洪申豪さんが運営するお店。地元のバンドのレコードやCD、カセットなどの音源のほか、Tシャツなどのアパレル、書籍なども置いている台湾のインディーカルチャーを体現するショップだ。訪れるのは2回目だが、品ぞろえが面白くてついつい長時間滞在してしまった。店員の女性の方は日本語もしゃべることができて、Tシャツの試着などにも快く応じてくれた。結局洪申豪さんがやっているバンド、
VOOIDのTシャツと、店員さんの友人がやっているという、BB彈 / BB BOMBというパンクバンドのCDを買って帰った。
良いものが買えた満足感に浸りながらホテルへin。次の日は朝の飛行機に乗らなければならないため実質台湾の旅はこれで終了だ。あ、ホテルに帰る前にホテル近くにあったアニメイトにも寄ったのだった。
ホテルに帰ってから近くのコンビニで買ったパンを食べながらこの台湾旅行を思い返しつつ、また訪れるぞという思いを強くした。ちょうど台湾が梅雨時期で雨がどうなるか心配だったが、結局一日目以外は晴れで大変助かった。台湾、早ければまた冬あたりにでも行きたい。次は花蓮など東のほうを攻めるのも面白いかも。
最後に。台湾のファミリーマートには下のお茶シリーズが売っているのだが、このお茶、ボトルの中に茶葉がダイレクトに入っていてめちゃ美味しいのだ。ファミリーマートさん、日本での販売もご検討ください…。